ネコノミクス

ネコノミクスとは

ネコノミクスは、日本において平成時代に起こった猫ブームを経済的な視点から表現した新たな言葉です。この言葉は、2015年頃から国内メディアで頻繁に使用されるようになりました。「アベノミクス」に対比させて名付けられたこの用語は、猫に関する経済的な効果を強調したものです。

猫ブームのきっかけ

2010年代に入ると、日本全体で空前の猫ブームが広がりました。そのきっかけとなったのは、和歌山電鐵貴志駅で名を馳せた三毛猫「たま駅長」の存在です。たま駅長の人気は、駅の観光地化を後押しし、その結果として影響を及ぼした経済効果は年間で約11億円にも達したと言われています。2012年から2016年の4年間で、日本国内の飼い猫の数は30万匹増加し、総数は987万匹に達しました。今後、飼い犬の数を追い抜くのではないかと予想されています。このようなブームを受け、猫に関連する書籍や商品が急増し、さらにはSNSの活用により猫の人気は加速しました。

経済効果の規模

関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、2015年の時点で猫関連の経済効果は約2兆3162億円に達するとの試算があります。この数値は2020年の東京五輪がもたらす経済効果をも上回るとされ、猫ブームは日本の経済において重要な要素となっています。また、ペットフード協会の発表によれば、2015年度の調査では飼い猫が約987万4000匹に対して飼い犬は約991万7000匹という結果が出ており、今後この数値が逆転する可能性が高いとされています。猫の飼育にかかる費用は約1兆1020億円とされ、その中には餌代などの飼育費用が含まれています。観光にも及ぼす経済効果は40億円と試算されています。

猫ブームの背景

このような猫ブームが進行中である背景には、高齢者や一人暮らし世帯の増加が挙げられています。犬は散歩の必要があるため、手間がかかる面があるため、相対的に手軽に飼育できる猫が人気となったと考えられています。また、「猫男子」という言葉が生まれるなど、猫を愛する男性も注目を集めています。

メディアと商品の影響

猫をテーマにした書籍や雑誌も多く出版されています。猫に関する写真集や育て方についてのノウハウ本、飼い主のエッセイなどが注目を集め、女性向けの週刊誌も猫の特集を組むようになりました。特に、『女性自身』をもじった『ねこ自身』というムック本は短期間で大ヒットを記録しました。他にも、多くの専門誌が刊行され、書店の猫コーナーは前年対比で3倍の売上を達成するなど、需要が高まっています。

映画界でも猫に関連した作品が多く公開されており、『猫侍 南の島へ行く』や『世界から猫が消えたなら』など、猫を題材にした映画が人気を集めています。またテレビでは、岩合光昭さんが出演する猫ドキュメンタリーがレギュラー放送されており、猫写真集の売れ行きも上昇しています。さらに、2015年からは猫を起用したCMも1.5倍に増加しています。

猫たちをテーマにしたゲームも注目されており、スマホゲーム『ねこあつめ』はなんと1000万ダウンロードを記録しました。これらの現象が、ネコノミクスを支え、猫のブームをさらに盛り上げる要因となっています。

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