ハメ手

ハメ手：囲碁・将棋における巧妙なトリック戦術

囲碁や将棋といったゲームにおいて、「ハメ手」は、一見すると不利な手を装い、相手の隙を突いて大きな損害を与える戦術です。相手がその罠に気づかず、欲張った手を選択した場合、大きなアドバンテージを得ることができます。しかし、ハメ手は相手が適切に対応すれば、仕掛けた側が大きな損害を被るリスクも伴います。そのため、勝負を賭けるような状況を除き、安易にハメ手を使うことは避けられるべきです。

囲碁におけるハメ手

囲碁においては、定石を巧みに利用したハメ手が存在します。例えば、高目定石において、一見するとスキだらけに見える手を打ち、相手がその隙に飛びつくと、逆に大損害を与えるという戦法があります。

具体例として、黒がカケ、白がコスミ出した状況を考えましょう。通常であれば、白はaの位置にコスむのが定石ですが、あえて3の位置に引っかけるのがハメ手です。この場合、白が5と切ると、黒は6に突っ込み、白の3子を切ることで大きな優勢を得ます。しかし、白が正しくaの位置に切れば、黒がbにツイダとしても、白はcにノビ切って黒1子を奪うことができ、断点が多く白が有利な状況を作れます。

将棋におけるハメ手

将棋においても、ハメ手は数多く存在します。正攻法ではなく、相手が気づきにくいトリック戦法や、一見すると普通の指し手に見せかけて、実は罠を仕掛けているような指し手がハメ手に該当します。

代表的なハメ手としては、早石田、鬼殺し、4四歩パックマン、ウキウキ飛車などが挙げられます。これらの戦法は、相手が対応できない場合に有利となりますが、正しく対応されると逆に不利に転じる可能性があります。他にも、横歩取り4五角戦法、△4一玉戦法、相掛かりにおける「蓋歩」、2枚落ち上手の5五歩止めや腰掛け銀なども、ハメ手の要素を含む戦法として知られています。筋違い角戦法も、一種のハメ手と見なされる場合があります。

さらに、コンピュータ[[将棋]]においてもハメ手は重要な戦術となっています。2015年の電王戦では、阿久津主税八段がコンピュータソフト「AWAKE」に対して、コンピュータの弱点を見抜いたハメ手を用いて勝利を収めました。このハメ手は、コンピュータに特定の手を打たせることで、自陣の駒を無条件で失わせるというものです。

また、コンピュータソフト「Apery」に対しても、自陣左側に駒を集中させることでコンピュータの錯覚を誘い、角交換した角を打ち込ませるハメ手が有効であることが知られています。この他にも、いくつかのハメ手が研究されており、コンピュータ[[将棋]]においては、人間の知略とコンピュータの弱点を見抜く洞察力が、勝利への鍵となります。

まとめ

ハメ手は、囲碁・将棋において、高度な戦略と心理戦を駆使した戦術です。一見するとリスクの高い戦法ですが、成功すれば大きなアドバンテージを得ることができます。しかし、相手が適切に対応した場合には、大きな損害を被る可能性もあるため、使用する際には慎重な判断が必要です。ハメ手の効果的な使用方法を理解することで、より戦略的なゲームプレイが可能になります。

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