ビューティ

アルバム『ビューティ』の詳細解説



坂本龍一の8作目のオリジナルアルバム『ビューティ』は、1989年11月21日にリリースされました。このアルバムは、彼がヴァージン・レコードに移籍した際の第一弾となる重要な作品です。アルバムには、元ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンや元ザ・バンドのロビー・ロバートソン、さらには元ソフト・マシーンのロバート・ワイアット、アフリカの著名なシンガー・ユッスー・ンドゥール、そしてアート・リンゼイといった多彩なアーティストが参加しています。

音楽スタイルと収録曲の特徴



『ビューティ』は、全11曲中の約半分がカバー曲で構成されています。具体的には、ローリング・ストーンズの「ウィー・ラブ・ユー」や、スティーヴン・フォスターの「ロマンス」、サミュエル・バーバーの「アダージョ」などが含まれており、沖縄民謡も2曲収録されています。この多様性が、このアルバムの大きな特徴です。特に、「アダージョ」は映画『プラトーン』でも使用された有名な楽曲で、坂本の独自のアレンジが施されています。

デジタルリマスターのリリース



2021年には、ユニバーサルミュージックからこのアルバムのSHM-CD版が発売され、紙ジャケット仕様でデジタルリマスターされました。この新版は、海外盤と日本盤で内容が異なっているものの、坂本の意向を反映した日本盤が採用されています。最新のリマスタリングはロビン・シュミットが担当し、若林恵による詳細な解説も付されています。

各楽曲の解説



  • - CALLING FROM TOKYO：この曲は元は「JAZZ」と名付けられていましたが、売れないとの理由で現在のタイトルに改名されました。ブライアン・ウィルソンに参加を依頼したところ快諾を得られたため、急遽メロディが追加されました。

  • - ROSE：坂本自らがメインボーカルを担当し、ピノ・パラディーノの官能的なベースが印象的です。

  • - 安里屋ユンタ：沖縄の民謡を採用したこの楽曲では、アフリカやスペインの音楽要素が見られ、坂本とオキナワチャンズが共演しています。

  • - FUTIQUE：アート・リンゼイによるラップが特徴的で、当初の仮タイトルは「テクノ」でした。




  • - A PILE OF TIME：元々はゲーム音楽として作られた曲で、韓国の伝統楽器カヤグムが使われています。

  • - ROMANCE：スティーヴン・フォスターの名曲に沖縄方言の歌詞が当てられた一曲です。

  • - ちんさぐの花：沖縄民謡のカバーで、坂本の感情が込められたストリングスアレンジが特徴です。

結論



『ビューティ』は、坂本龍一の音楽キャリアの中でも特に多様性と独創性が光るアルバムであり、聴く人に深い感動を与える作品です。その後のデジタルリマスター版でも、新たな視点から楽しむことができます。このアルバムを通じて、坂本の音楽の幅広さを再確認することができるでしょう。

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