フォントワークス

フォントワークス株式会社は、1993年に設立されたフォント制作会社です。本社を東京都港区に構え、代表取締役社長は清水久裕氏が務めています。創業当初は「フォントワークスジャパン」という社名でしたが、これは香港のFontworks International, Ltd.の販売代理店としての役割を担っていたことに由来します。その後、2008年7月に現在の社名へと変更しました。

フォントワークスは、業界で初めて和文Type1フォントパッケージをリリースしたことで知られています。日本語DTP環境において、モリサワなどの企業と並び、出版や放送業界で大きなシェアを獲得しています。初期に開発・発売された自社ブランドフォントの多くには、芸術家の名前が使用されていることも特徴です。

2013年6月には、ソフトバンクテクノロジーが当時の社長であった松雪文一氏らから発行済み株式の88%を取得し、同社を子会社化しました。この際の取得額は17億7100万円でした。2019年12月には、本社を福岡市博多区から現在の東京都港区へと移転し、福岡の拠点は「Fukuoka Creative Lab」として新たなスタートを切りました。さらに、2023年には、アメリカのMonotype社がフォントワークスを買収し、グローバルな展開を加速させています。

事業所は、東京本社とFukuoka Creative Labの2箇所にあります。東京本社は東京都港区北青山に位置し、Fukuoka Creative Labは福岡県福岡市博多区にあります。フォントワークスは、OCF、CID、OpenTypeといった多様な形式のフォントを販売しており、Windows環境向けにはTrueTypeフォントも提供しています。特に注目すべきは、年間契約方式の「LETS」（Leading Edge Type Solution）というサービスです。これは、年会費を支払うことで、OSの違いを気にせずに様々な書体が利用できる包括的なサポートプログラムです。2005年からイワタもこのサービスに参加しています。

「LETS」は、他のフォントメーカーにも影響を与え、タイプバンク、白舟書体、モトヤ、昭和書体といった多くの企業が参加しました。しかし、年間契約方式に対しては、買い切りでのフォント利用を好むユーザーから、固定費の発生を懸念する声も上がっています。この影響からか、モリサワも同様の仕組みである「MORISAWA PASSPORT」を開始し、ダイナコムウェアや視覚デザイン研究所なども同様のライセンスプログラムを展開しています。

フォントワークスの主なフォントとしては、フラッグシップフォントである「筑紫シリーズ」があります。これには、「筑紫明朝」「筑紫ゴシック」「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」などが含まれます。また、ハイエンドの出版ニーズに応える「クラシックシリーズ」には、「マティス」「ロダン」「ニューロダン」「スーラ」「セザンヌ」「ニューセザンヌ」「グレコ」「ユトリロ」などがあります。さらに、ユニバーサルデザインを考慮した「UD書体シリーズ」、「ベイシックシリーズ」、見出しなどに適した「キャッチシリーズ」など、幅広いラインナップを誇ります。

「デザインクラブ」は、個性的な書体デザイナーがデザインし、フォントワークスがプロデュースした書体群です。大日本印刷の「秀英体」や昭和書体についても、モリサワからリリースされていますが、互換性はありません。また、クラシックシリーズに合わせたかな書体として、「えれがんと」「キャピー」「NTLG」「墨東」「わんぱく」「ハッピー」「カトレア」「マリア」などがあります。

企業特注フォントとしては、LINE株式会社の公式コーポレートフォントである「LINE Seed JP」や、テレビ朝日の報道・情報番組専用の「テレ朝UD」などがあります。フォントワークスは、Webフォントサービス「FONTPLUS」も提供しており、多岐にわたるフォントソリューションを展開しています。

フォントワークスは、X（旧Twitter）、Facebook、Instagram、YouTubeチャンネルなどのソーシャルメディアを通じて、最新情報を発信しています。フォント制作を通じて、社会のコミュニケーションを豊かにすることを目指している企業です。

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