ブラザー工業

ブラザー工業株式会社（英: BROTHER INDUSTRIES, LTD.）は、愛知県名古屋市瑞穂区に本社を有する日本の著名な電機メーカーです。主にプリンター、複合機、ファックス、ミシンなどの製造を行い、特に海外市場での強いブランドイメージを持っています。

同社の名前は、創業者の安井兼吉に由来し、彼が設立した「安井ミシン商会」を改名した際に「兄弟」という意味の「Brother」を採用したことから来ています。売上の約90%は日本国外からのもので、特に北米やヨーロッパでは高いブランド力を誇ります。特にSOHO向けの複合機やファックスにおいては北米市場でのシェアが非常に高いです。

ブラザー工業はミシンの分野でも特筆すべきシェアを持っています。家庭用と工業用両方で、世界的にトップクラスの評価を得ており、特に工業用ミシンにおいては最大の競合であるJUKIとの競争が続いています。家庭用ミシンの市場が減少している中でも、同社は依然として堅調な業績を保っています。

1956年には70ccオートバイ「ダーリン号」を販売したものの、自然災害による製造ラインの浸水によりオートバイ事業から撤退しました。過去には家電製品や電子楽器も手掛けていたが、1990年代にはこれらの分野からも撤退しています。

1971年、ブラザー工業はセントロニクス社と共に高速ドットプリンターの開発に成功し、その後、家庭用ファックスやラベルプリンターなどの市場においても革新を続けています。特にラベルプリンターは、ブラザーが開発した製品が世界市場でのシェア1位を記録しています。

ファックスと複合機の開発でも同社は注目されており、1987年にはNTTと共同でファックスを開発し、その後も市場のリーダーとしての地位を確立しました。ただし、最近では競合他社へのシェアの奪取が進んでいることも課題となっています。

印刷技術においては、ブラザーは独自にレーザープリンターやインクジェットプリンターの製造を行い、特にレーザープリンターは他社とOEM契約を結ぶ形で展開しています。2007年に自社開発したカラーレーザーエンジンを使用し、その品質は高く評価されています。

2003年にはインクジェット複合機「マイミーオ」を発売し、日本国内ではファックス付き複合機においてシェア1位となりました。さらにエンターテインメントロボットの「イフボット」を開発し、さまざまなプロモーションに展開しています。

通信カラオケ事業の分野でも、子会社エクシングを通じて「JOYSOUND」の製造・販売を行い、業界のリーダーとしての地位を確立しています。また、ネットワークイメージングデバイス事業や次世代コンテンツ配信システムの開発にも注力しており、時代のニーズに応えた製品を次々と創出しています。

ブラザー工業は多角化を進める中で、さまざまな技術革新を実現してきました。コミュニケーション分野やエンターテインメントロボット、そして通信カラオケなど、幅広い事業展開により業績を向上させています。また、名古屋市内には複数の製造拠点を持ち、全国および世界各地に拠点を展開し、効率的な生産体制を整えています。

特に、ブラザー工業の創業からの長い歴史の中で得た技術的なノウハウは、現在の製品においても大きな強みとなっています。近年、名古屋市科学館のプラネタリウムドームのネーミングライツを取得するなど、地域貢献にも取り組んでいる同社は、今後もさらなる発展が期待される企業となっています。

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