プロレススーパースター列伝

『プロレススーパースター列伝』は、原作を梶原一騎、作画を原田久仁信が担当し、『週刊少年サンデー』で1980年から1983年まで連載された漫画作品です。当時、日本で人気を博していた実在のプロレスラーたちを題材に、そのドラマチックな人生や試合を描き出しました。単行本は少年サンデーコミックスから全17巻で刊行され、その後も講談社からワイド版や文庫版として復刻されています。

概要

この作品は、1回あたり約20ページの連載で、取り上げるレスラーによって連載回数が異なりました。最短はカール・ゴッチの5回、最長は初代タイガーマスクの27回です。新[[日本プロレス]]と全[[日本プロレス]]の競合が激しかった時代を背景に、梶原一騎と新[[日本プロレス]]の関係が色濃く反映された内容となっています。そのため、全[[日本プロレス]]に招聘されたレスラーは比較的軽く扱われる一方、新日本のタイガーマスクブームや、全日本によるスタン・ハンセンの引き抜きなどは劇的に描かれています。

連載当時は非常に人気が高く、「タイガーマスク編」の連載中には人気投票で『うる星やつら』『タッチ』に次ぐ3位を獲得しました。作中には「アントニオ猪木（談）」という小コラムが頻繁に登場しますが、これは原田久仁信によると、ほぼ梶原一騎による創作だったとのことです。

内容の特徴

『プロレススーパースター列伝』は、「ドキュメンタリー」という体裁を取りながらも、実際には虚構や漫画的な誇張が多分に含まれています。そのため、事実とは異なるエピソードや、スタン・ハンセンの学歴のように、同一人物であっても異なるエピソードで矛盾が生じることもあります。しかし、これらの虚実ないまぜの描写が、作品の魅力を高めているのも事実です。

作画に関しても、パイルドライバーの腕の位置がおかしい、ミル・マスカラス編でのデストロイヤーのマスクが紐付きになっているなど、現実とは異なる点が見られます。

フィクションの例

タイガーマスクにリング上で制裁されるエル・ソラールの件（実際はアクシデントによる脱臼）
佐山サトルがメキシコやイギリスで、覆面レスラー「ミスター・カンフー」を名乗っていたとする件（実際は素顔で試合をしていた）
ハンセンがサンマルチノの首を負傷させた技がラリアットとされているが、実際はボディスラムのミス
ハルク・ホーガンのアックスボンバー誕生秘話（実際はハンセンとの差別化のため腕を曲げるフォームにした）
ルー・テーズがメキシコの団体のオーナーになったという設定（実際は選手兼コーチ業がメイン）
シンガポールにガマ・オテナなる空手家が大道場を構えるという設定（ガマは実在しない）

各エピソード

父の執念！ザ・ファンクス：ザ・ファンクスの父親であるドリー・ファンク・シニアのエピソードが中心。
首折り魔！スタン・ハンセン：ハンセンのプロレスラーとしての軌跡を描く。ブロディとの友情や、ラリアット誕生秘話などが語られる。
地獄突きがいく！A・ザ・ブッチャー：ブッチャーが東南アジアで空手を学び、ヒールとしてスターダムを駆け上がる物語。
世紀の巨人！A・ザ・ジャイアント：アンドレ・ザ・ジャイアントが木こりからプロレスラーになるまでを描く。
千の顔をもつ男！ミル・マスカラス：マスカラスとデストロイヤーの対戦や、マスカラスの人気ぶりが描かれる。
インドの狂虎！タイガー・J・シン：シンのインドでのトレーニングや、インドレスリングの強さが紹介される。
なつかしのB・I砲！G馬場とA猪木：馬場と猪木の友情やライバル関係を描く。
プロレスの神様！カール・ゴッチ：ゴッチがビリー・ライレージムで修行時代を回想する。
狂乱の貴公子！リック・フレアー：フレアーが小柄な体格を克服し、王者になるまでの根性物語。
夢の英雄！タイガーマスク：初代タイガーマスクの正体に迫る、シリーズ最大の長編。
超人一番！ハルク・ホーガン：ホーガンがプロレスラーになるきっかけや、アックスボンバー誕生秘話が語られる。
文明のキングコング！ブルーザー・ブロディ：ブロディとハンセンの友情や、ブロディの日本での活躍を描く。
* 東洋の神秘！カブキ：高千穂明久がザ・グレート・カブキに変身する物語。日本プロレスの内紛も描かれる。

続編と関連書籍

『週刊プロレス』では、続編として棚橋弘至編と丸藤正道編が連載されました。また、男色ディーノと原田久仁信による「DDTスーパースター列伝」も製作されています。

原田久仁信による回想録『「プロレススーパースター列伝」秘録』も出版されています。

『プロレススーパースター列伝』は、プロレスファンにとっては必読の作品であり、プロレスの歴史や魅力を知る上で貴重な資料となっています。

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