下士別駅

下士別駅：宗谷本線沿いの小さな駅の歴史と終焉

北海道士別市下士別町に存在した下士別駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）宗谷本線に属する駅でした。現在は廃駅となっていますが、その歴史と周辺環境、そして廃止に至る経緯を詳細に見ていきましょう。

開業から廃止まで

1955年12月2日、気動車運転開始に伴い、士別駅と多寄駅間に下士別仮乗降場として開業しました。当初は旅客のみの取扱いでした。その後、1959年11月1日に駅に昇格し、下士別駅となりました。国鉄分割民営化後の1987年4月1日からはJR北海道の駅として運営されましたが、長年にわたる利用者減少が課題となっていました。

2020年3月、宗谷本線活性化推進協議会からJR北海道に廃止打診が行われ、士別市も廃止を容認。そして2021年3月13日、ダイヤ改正と利用者減少を理由に、下士別駅は廃止となりました。駅名の由来は、士別より天塩川の下流に位置することから「下」を冠して名付けられたことにあります。

駅の構造と周辺環境

下士別駅は、単式ホーム1面1線の地上駅で、分岐器を持たない棒線駅でした。開業以来、無人駅として運営され、士別駅が管理していました。ホームは線路の西側に位置し、有効長は2両分でした。駅舎は古い建物で、かつては下見板張りの外壁でしたが、改修を経てカラー鉄板張りに変わっていました。待合所やトイレ、自転車置場なども備えていました。

駅周辺は名寄盆地内にある広大な平地で、天塩川支流の池が多く見られる稲作地帯でした。小さな市街地も形成され、北海道道925号武徳下士別線、北海道道850号瑞生下士別線、国道40号が駅近くに位置していました。下士別簡易郵便局や道北バスの停留所、そしてかつて存在した下士別中学校と下士別小学校も駅の近くにあったことが、地域の生活に密着した駅であったことを示しています。

利用状況と今後の展望

具体的な乗車人員のデータは公開されていませんが、長年にわたる利用者減少が廃止の主要因であることは間違いありません。周辺地域の過疎化や自動車の普及などが、利用者減少に影響を与えたと考えられます。廃止後、下士別地区の交通手段はバス路線などにシフトすることになります。

下士別駅の廃止は、地方のローカル線の厳しい現状を象徴する出来事と言えるでしょう。かつては地域住民の生活を支えた駅も、時代の変化とともにその役割を終えることになりました。残された建物や歴史は、地方の鉄道史を語る上で貴重な資料として、記憶に留めておくべきでしょう。

隣の駅

士別駅
多寄駅

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