保津峡駅

保津峡駅：保津峡の自然に抱かれた山間の駅

保津峡駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）山陰本線の駅であり、京都府京都市西京区と亀岡市の境界に位置しています。駅番号はJR-E09で、愛称である「嵯峨野線」の区間にも含まれています。保津峡の雄大な自然に囲まれた山間部に位置し、駅の両側はトンネルで挟まれた、独特の景観が特徴です。

歴史と移転：保津峡駅の変遷

保津峡駅の歴史は古く、1929年に松尾山信号場として開設され、1936年に駅に昇格、旅客営業を開始しました。当初の駅舎は現在のトロッコ保津峡駅付近にありました。その後、1989年に現在の場所へ移転しており、この移転によって駅の所在地表記も亀岡市保津町保津山となりました。これは、ホーム中央部を保津川（桂川）が流れ、ホームの一部と駅舎が亀岡市側に位置するためです。

国鉄時代は、保津峡駅が福知山鉄道管理局と大阪鉄道管理局の管轄境界駅でした。しかし、営業上は「京都市内」の駅として扱われ、長距離運賃の特例運賃計算の対象となっています。移転後には新駅舎が1990年に完成、そして旧駅舎はトロッコ保津峡駅として再利用されています。その後、自動改札機設置（1998年）、ICOCA対応（2003年）、駅ナンバリング導入（2018年）など、時代の変化に合わせて駅設備の充実が図られてきました。

駅構造と設備：高架駅と無人駅

保津峡駅は、相対式ホーム2面2線を有する橋梁上の高架駅です。分岐器や絶対信号機がないため、停留所に分類されます。亀岡駅が管理する無人駅ですが、自動券売機や簡易型自動改札機が設置されており、行楽シーズンなどには係員が配置されることもあります。駅舎はコンパクトな作りで、ホーム幅も比較的狭くなっています。ホームの一部は橋上にあり、真下では保津川下りの遊覧船が行き交う様子を見ることができます。また、改札外には水洗トイレも設置されています。ICOCA利用エリアにも含まれ、券売機はSMART ICOCAクイックチャージにも対応しています。

利用状況と周辺環境：自然豊かな静かな駅

2022年度の1日平均乗車人員は約178人です。駅周辺は保津峡の自然に囲まれており、人家はほとんどありません。約4km北には、水尾集落があり、柚子や清和天皇陵で知られています。駅前に駐車スペースも数台分確保されています。愛宕神社・愛宕山の最寄り駅として、登山客にも利用されていますが、表参道は清滝側にあるため注意が必要です。

駅周辺には、屏風岩やライオン岩などの自然景観があり、徒歩圏内にトロッコ保津峡駅（嵯峨野観光鉄道嵯峨野観光線）もあります。しかし、両駅間の距離は約1100メートルあり、連絡交通機関はないため徒歩での移動となります。

バス路線としては、水尾自治会バスが運行しており、当駅と嵯峨水尾間を結んでいます。ただし、火曜・金曜と年末年始はお休みです。愛宕神社の千日参りやフジバカマ鑑賞会期間中は臨時バスが運行されます。

隣の駅

保津峡駅の隣の駅は、下り方面が嵯峨嵐山駅、上り方面が馬堀駅です。快速列車は保津峡駅を通過します。

保津峡駅は、自然豊かな環境と歴史を感じさせる魅力的な駅です。保津峡の観光拠点として、これからも多くの人々に利用されることが期待されます。

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