兵庫陶芸美術館

兵庫陶芸美術館：兵庫の陶芸文化を伝える拠点

兵庫県丹波篠山市、自然豊かな虚空蔵山の麓に位置する兵庫陶芸美術館は、古くから続く兵庫の陶芸文化を継承・発展させるために設立された美術館です。近隣の立杭陶の郷と連携し、エコミュージアムとしての役割も担っています。

多彩な陶磁器コレクション

当館は、日本六古窯の一つである丹波焼の主要な産地である丹波立杭エリアに立地しています。そのため、館内には丹波焼を中心とした、兵庫県各地の陶磁器が数多く展示されています。平安時代から現代までの作品が網羅されており、歴史と伝統、そして現代の創造性を垣間見ることができるでしょう。

特に注目すべきは、創設者である田中寛氏(元全但バス社長) の個人コレクションを核とした所蔵品です。これらの作品群は、兵庫県陶芸文化の深い歴史と多様性を示す重要な資料となっています。淡路のみん平焼、姫路の東山焼、豊岡の出石焼、三田の三田焼、篠山の王地山焼など、兵庫県を代表する窯元の作品を鑑賞できます。また、富本憲吉やルーシー・リーといった著名な陶芸家の作品も収蔵されています。鎌倉時代の丹波焼の壺や、近現代の革新的な作品まで、時代を超えた陶芸の粋を堪能できます。

美術館施設と充実した設備

美術館は、展示棟、エントランス棟、研修棟、管理棟の4つの棟から構成されています。

展示棟には5つの展示室があり、それぞれのテーマに沿って作品が展示されています。エントランス棟にはインフォメーションコーナーの他に、来場者が実際に陶芸を体験できる工房が設置されています。電動ろくろや電気窯、ガス窯などの設備が整っており、初心者から経験者まで楽しむことができます。2階には展望デッキがあり、丹波立杭の美しい風景を一望できます。また、カフェも併設されているので、ゆったりと休憩することも可能です。

研修棟には、セミナー室(120席)と談話室(26名)があり、陶芸に関するワークショップや講演会などが開催されています。管理棟には、陶芸に関する専門図書7,000冊を所蔵するレファレンスルーム(美術館図書室)や、コミュニティギャラリーなどのスペースも用意されています。さらに、茶室「玄庵」では、本格的な茶道体験も可能です。各棟は回廊で繋がれており、スムーズに移動できます。

美術館としての役割と連携

兵庫陶芸美術館は、2008年に発足した「陶磁ネットワーク会議」の創立メンバーであり、日本博物館協会会員館、兵庫県博物館協会加盟館、美術館連絡協議会加盟館でもあります。博物館法に基づく兵庫県教育委員会指定施設（博物館に相当する施設）として、地域社会への貢献にも力を入れています。「ひょうごっ子ココロンカード」の対象施設となっており、子供たちの文化に触れる機会も提供しています。また、兵庫県の直営であるため、安定した運営が保証されています。

アクセスと周辺情報

JR福知山線相野駅から神姫バスで約15分とアクセスも良好です。周辺には立杭陶の郷や日本六古窯現代名陶館などの観光施設もあります。陶芸を愛する方、日本の伝統文化に興味のある方にとって、一日を通して楽しめる場所となっています。

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