南延岡駅

南延岡駅：延岡市の南玄関口と地域を繋ぐ鉄道の要衝

南延岡駅は、宮崎県延岡市構口町に位置する九州旅客鉄道（JR九州）と日本貨物鉄道（JR貨物）が運営する日豊本線の駅です。延岡市の南側玄関口として、地域住民の生活や産業を支える重要な役割を担ってきました。

歴史：激動の時代を刻む

1922年（大正11年）の開業以来、南延岡駅は地域の変遷を目の当たりにしてきました。1945年（昭和20年）の延岡大空襲では駅舎が全焼するなど、大きな被害を受けました。その後、1978年（昭和53年）に現在の駅舎が完成。1985年（昭和60年）には専用線発着のコンテナ貨物取扱を開始し、貨物輸送の中心地としても機能しました。国鉄分割民営化を経てJR九州・JR貨物の駅となり、2002年には寝台特急「彗星」の停車も開始。しかし、2006年の台風13号による竜巻で特急列車が脱線転覆する事故も発生しました。近年では、2023年8月に貨物取扱が終了、同年10月にはJR九州サービスサポートからの直営駅への移管など、変化の時代を迎えています。

駅構造：3面3線と広大な構内

南延岡駅は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線の地上駅です。11本の留置線・側線を有し、かつては旅客用5本、貨物用6本と使い分けられていましたが、現在は旅客用は使用停止となっています。駅舎は鉄筋コンクリート造りの2階建てで、改札外に待合所を備え、橋上駅となっています。みどりの窓口も設置されており、利便性の高い駅です。

貨物取扱：旭化成工場への輸送を支える

長年にわたり、南延岡駅はJR貨物の駅として、旭化成（旧旭化成ケミカルズ工場）への専用線発着コンテナ貨物と車扱貨物を扱っていました。液化塩素などの輸送が中心で、特に三井化学大牟田工場への輸送は重要な役割を担っていました。2019年時点では北九州貨物ターミナル駅との間で高速貨物列車が運行されていましたが、2023年8月に貨物取扱はすべて終了しました。かつては旭化成工業をはじめ、西井、日新興業などの企業が所有する多様な私有貨車が多数配置されていました。

利用状況：通勤・通学だけでなく中距離利用も盛ん

2023年度の1日平均乗車人員は約811人です。延岡市の都市構造や産業構造から考えると、駅周辺からの旭化成工場への通勤客は少なく、むしろ宮崎方面への中距離利用客が多いのが特徴です。特急列車の発車時刻が近付くと、多くの乗客で賑わいます。

駅周辺：住宅地と商店街が調和する環境

南延岡駅は、延岡市街地の南端、旧恒富村に当たる川南地区の南端に位置しています。駅周辺は住宅地が広がり、一戸建て住宅が中心です。駅前の旧国道10号沿いは商店街が形成され、愛宕山を背景にした独特の景観を呈しています。駅東側は比較的平坦な土地で、住宅開発が進んでいます。駅周辺では鉄道を利用した通勤・通学は少ないものの、駅名や周辺の店舗名などに「南延岡」が使われるなど、地域に深く根付いた存在となっています。地元では「南駅」という愛称で親しまれています。

バス路線：市内各地を結ぶ交通網

駅前に「南延岡駅前」バス停があり、宮崎交通のバスが運行されています。延岡駅方面や雷管・片田団地・一ヶ岡・土々呂方面など、市内各地へのアクセスが可能です。

隣の駅

延岡駅
旭ケ丘駅

南延岡駅は、歴史と変化を刻みながら、延岡市の発展に貢献し続ける重要な駅です。これからも地域の交通の要衝として、多くの人々の生活を支えていくでしょう。

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