南松本駅

南松本駅：歴史と発展を続ける交通の要衝

南松本駅は、長野県松本市出川町に位置する東日本旅客鉄道（JR東日本）と日本貨物鉄道（JR貨物）篠ノ井線の駅です。戦時中の軍需工場への物資輸送を目的として1944年9月1日に開業しました。当初は一般駅として発足しましたが、松本駅での貨物取扱いが廃止された後、当駅に集約されることになり、以降は貨物ターミナルとして大きく発展を遂げました。近年では、松本市街地の拡大に伴い通勤・通学利用者も増加し、旅客・貨物両面において重要な役割を担う駅となっています。

開業から現在までの歩み

南松本駅の歴史は、戦時中の軍需輸送に始まり、時代の変遷とともにその役割を変化させてきました。1968年には松本駅からの貨物取扱業務を移管し、貨物輸送の拠点としての地位を確立。1971年には日本オイルターミナル松本営業所の営業開始を機に、石油輸送も重要な業務となりました。

その後も、荷物扱い廃止（1985年）、業務委託駅化（1985年）、国鉄分割民営化によるJR東日本・JR貨物への移管（1987年）など、幾多の変遷を経てきました。駅舎の改修工事（2010年）、長野県中部地震による被害からの復旧工事（2011年）、東京近郊区間に編入（2014年）、Suica利用開始（2017年）、そして2021年には新駅舎が供用開始されるなど、常に利用者の利便性向上に向けた取り組みが続けられています。2023年には列車到着予告放送と発車ベルの変更が行われ、更なる利用者への配慮が図られています。

駅構造と施設

南松本駅は、島式ホーム1面2線と複数の側線を有する地上駅です。駅舎とホームの間は跨線橋で連絡しており、貨物列車の発着に対応できる広大な構内を有しています。JR貨物松本営業所も駅構内に設置されており、貨物業務の中枢として機能しています。

駅舎内には自動券売機、簡易Suica改札機、みどりの窓口が設置され、冷暖房付きの待合室も完備。2021年の新駅舎完成と同時に改札内に多機能トイレが新設されるなど、バリアフリー化も進められています。一方、出入り口は西側にのみ設置されており、東側への遊歩道は存在しません。

貨物駅としての機能

南松本駅は、旅客輸送だけでなく、貨物輸送においても重要な役割を果たしています。特に石油輸送においては、複数の石油会社との専用線が接続されており、多数の石油輸送列車が発着します。かつてはセメントやLPGなどの輸送にも使用されていた専用線も多く存在していましたが、時代の変化に伴い、一部の専用線は廃止されています。現在でも、コンテナ貨物や車扱貨物（産業廃棄物等を含む）を取り扱っており、近年の貨物取扱量はコンテナ貨物、車扱貨物ともに相当の量を誇ります。

構内では新鶴見機関区所属のHD300形ハイブリッド機関車が、入換作業を担当しています。貨物列車については、関東方面、中京方面、北長野駅方面への定期・臨時便が運行されています。石油輸送列車は千葉貨物駅、川崎貨物駅、根岸駅、四日市駅方面への定期・臨時便が運行され、多様な貨物輸送に対応しています。

駅周辺の環境

南松本駅周辺は、住宅地が広がり、商店や飲食店、公共施設が点在しています。駅南側には宮田前踏切がありますが、JR貨物の作業の影響で日中は開かずの踏切となることが多く、慢性的な渋滞の原因となっています。この問題を解決するため、長野県はアンダーパス整備を計画しており、2025年10月頃には踏切閉鎖に伴う工事が開始される予定です。

周辺には、南松本駅前郵便局、松本市総合社会福祉センター、松本市南部図書館・南部体育館、信濃むつみ高等学校、八十二銀行南松本支店、多賀神社、ハイランドシティ松本、南松本ショッピングセンター、ネオパーク松本、シネマライツ8、南部公園、松本ハイランド農業協同組合本所、日穀製粉松本工場など、生活に必要な施設が数多く立地しています。アルピコ交通や松本市西部地域コミュニティバスの停留所も設置され、公共交通機関によるアクセスも良好です。

利用状況

2023年度の1日平均乗車人員は約1400人です。近年、利用者数は緩やかに増加傾向にあります。貨物輸送においても、コンテナ貨物、車扱貨物ともに年間を通して多くの貨物が発着しており、地域経済の活性化に大きく貢献しています。

まとめ

南松本駅は、歴史と発展を続ける、地域社会にとって欠かせない交通拠点です。これからも、旅客・貨物両面での利便性向上、そして周辺地域の発展に貢献していくことが期待されます。

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