和歌山県立近代美術館

和歌山県立近代美術館：近現代美術の宝庫

和歌山県立近代美術館は、和歌山県和歌山市に位置する美術館です。1963年に和歌山城内に開館した和歌山県立美術館を前身とし、1970年に和歌山県民文化会館の一角に移転、その後1994年には現在の和歌山城隣接地に新築移転しました。

近代建築と充実したコレクション

著名な建築家、黒川紀章氏によって設計された建物は、その洗練されたデザインから公共建築百選にも選定されています。和歌山県立博物館とデッキで連結されており、地下では空調や電気系統などを共有する一体型の建築として機能しています。バブル景気時代の予算を活かした、スケールの大きな施設です。

美術館の所蔵品は1万点以上を数え、和歌山ゆかりの作家である保田龍門、川口軌外、川端龍子、浜口陽三、田中恭吉らの作品を中心に、近現代美術のコレクションを充実させています。特に、佐伯祐三の油彩作品13点は、美術館の誇るべき名品として知られています。近現代の版画コレクションも充実しており、多様な表現技法の作品を楽しむことができます。

主要収蔵作品

美術館には、国内外の巨匠たちの作品が数多く収蔵されています。以下はその一部です。

洋画:

佐伯祐三：「レ・ジュ・ド・ノエル」、「広告のある門」、「リュ・デュ・シャトーの歩道」、「オプセルヴァトワール附近」など
須田国太郎：「風景」
菅井汲：「雷神」
難波田龍起：「緑の空間」
荒川修作：「The Observer Continues」
元永定正：「作品」
マーク・ロスコ：「赤の上の黄褐色と黒」
トム・ウエッセルマン：「シースケープ＃8」
フランク・ステラ：「ラッカ III」
ヴィクトル・ヴァザルリ：「ビソール」
マーク・ボイル：「黒いふちの石の研究」
クリストとジャンヌ＝クロード：「ポン・ヌフ」

日本画:

下村観山：「魔障図試作」
野長瀬晩花：「島の女」
川端龍子：「芭蕉翁」

彫刻:

建畠大夢：「感に打たれた女」
バーバラ・ヘップワース：「弦を張った円板」
ルイーズ・ネヴェルスン：「北の星」
イサム・ノグチ：「考える議長」

版画:

エドヴァルド・ムンク：「病める子」
パブロ・ピカソ：「貧しき食事」、「ミノトーロマシー」、「泣く女」
ジョルジュ・ブラック：「コンポジション」（静物I）
ワシリー・カンディンスキー：「響き」
田中恭吉：「綯はれゆく歓喜と悲愁」
パウル・クレー：「内なる光りの聖女」
ジョルジュ・ルオー：「ミゼレーレ」
ジョアン・ミロ：「月の前の女と犬」
アンリ・マティス：「ジャズ」
ロイ・リキテンスタイン：「クラック！」
アンディ・ウォーホル：「キャンベル・スープII」

これらの作品群は、近現代美術史の流れを理解する上で貴重な資料となっています。

美術館の概要

設計: 黒川紀章
竣工: 1994年
延床面積: 11,838m²
構造: 鉄筋コンクリート造
規模: 地上2階、地下1階
所在地: 〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上1-4-14

アクセス

和歌山駅または和歌山市駅から和歌山バス「県庁前」バス停下車、徒歩約2分です。

周辺

美術館周辺には、岡山の時鐘堂や無量光寺（首大仏の寺）などの史跡も点在しています。

和歌山県立近代美術館は、近現代美術の鑑賞だけでなく、和歌山市の歴史や文化に触れることができる魅力的な場所です。

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