嘉吉の徳政一揆

嘉吉の徳政一揆

嘉吉の徳政一揆（かきつのとくせいいっき）は、1441年の日本において発生した重要な歴史的出来事です。この一揆は、当時の将軍足利義教が暗殺された後の政治的混乱を受けて、京都や近江を中心に農民たちが徳政令を求めて立ち上がったものです。この出来事は、将軍家の権威を大きく揺るがし、その後の幕府の政策にも影響を及ぼしました。

概要

事件は嘉吉元年6月に発生しました。足利義教が暗殺されたことで、幼い足利義勝が後継者に選ばれましたが、政治の混乱が広がりました。この混乱の中、農民たちは「天下一同の徳政令」を求める声を上げました。その先頭に立ったのは、近江坂本の馬借たちであり、彼らは地侍の指導の下、数万人が集結する一揆として成長しました。この一揆は、京都を中心に展開され、都を包囲する形をとりました。

一揆の進展

一揆の始まりは、義教の暗殺後にさかのぼります。以下の時系列で、この一揆の流れを見てみましょう。

• - 6月: 足利義教が暗殺される。
• - 8月: 近江で馬借が蜂起し、守護の六角満綱が徳政令を発布。
• - 9月: 一揆勢が京都の東寺や北野社、丹波口を占拠し、交通の要所を封鎖する。

一揆軍は、外部との連絡を断ち、酒屋や土倉、寺院を襲撃しました。彼らは地侍の指導により組織的に行動し、濫用的な略奪を自ら規制する一方で、幕府は農民に対する徳政令を発布し、事態の収拾を目指しました。しかし農民たちは、自らの要求を広げ、一般庶民も含めた徳政令を求めるようになりました。

また、幕府内部では管領の細川持之が土倉から賄賂を受け取っていたことが発覚し、このため守護大名や他の武士は出兵を拒否しました。畠山持国は、一揆に自らの被官が参加していたため、鎮圧に反対し、状況はさらに混乱しました。

最終的には、7代将軍足利義勝（実際にはその後見人である細川持之が実権を行使）によって、質物の返還などの徳政令が発布されました。この時期に公式な徳政令が出されたことは、幕府の権威に大きな打撃を与えました。

影響と結論

嘉吉の徳政一揆は、ただの農民反乱ではなく、社会全体の構造が揺らいだ重要な事件でした。幕府はこの一揆に対処することで、徳政令を発布するという前例を作り、その権威は大きく傷つきました。この事件は、後に続く歴史的な出来事や政策の変化に影響を与え、武士と農民の関係における新たな局面を切り開くこととなったのです。

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