天徳

天徳（てんとく）とは

「天徳」は、歴史的に複数の王朝や人物によって用いられた元号です。以下に、それぞれの「天徳」について解説します。

ベトナム

前李朝（李賁）の天徳（544年 - 548年）: ベトナムを支配した李賁（りふん）が建てた元号です。李賁は、中国の南朝梁からの独立を目指し、武帝の圧政に対して反乱を起こし、544年に万春国を建てて皇帝を称しました。この時に「天徳」を元号として使用しました。

中国

閩の天徳（943年 - 945年）: 五代十国時代の地方政権、閩（びん）の王延政（おうえんせい）が使用した元号です。王延政は、943年に兄の王継鵬を殺害して自立し、殷を建てて皇帝となりました。その際に「天徳」を元号と定めました。
金の天徳（1149年 - 1153年）: 金朝の第4代皇帝、海陵王（完顔亮）が使用した元号です。海陵王は、即位後に中央集権化を進め、大規模な遷都や南宋への侵攻を行いました。「天徳」は、海陵王の治世初期に使用されました。
後遼の天徳（1216年 - 1217年）: 後遼の耶律金山（やりつ・きんざん）が使用した元号です。後遼は、金の支配下にあった契丹人が独立して建てた政権であり、耶律金山は短期間「天徳」を使用しました。
清代の天徳（張念一）（1708年）: 清代に張念一（ちょう・ねんいつ）が使用した元号です。清朝に対する反乱の際に用いられた可能性がありますが、詳細は不明です。
清代の私年号としての天徳（林恭、林万青、黄威）（1853年）: 清代には、林恭（りん・きょう）、林万青（りん・ばんせい）、黄威（こう・い）らがそれぞれ私年号として「天徳」を建てました。これらの私年号は、太平天国の乱の時期に、各地で発生した反乱や秘密結社によって用いられました。

日本

日本の天徳（957年 - 960年）: 日本の平安時代、村上天皇の時代に使用された元号です。康保から改元され、応和に引き継がれました。天徳の期間には、天徳四年（960年）に内裏が焼失するなどの出来事がありました。

ベトナム

後黎朝の天徳（黎榜）（1518年 - 1519年?）: ベトナム後黎朝の昭宗（しょうそう）に叛して帝位についた黎榜（れいほう）の元号の一説です。黎榜は、昭宗に対して反乱を起こし、一時的に帝位を簒奪しましたが、すぐに鎮圧されました。「大徳」とされていた元号が「天徳」であるという説もあります。

このように、「天徳」は様々な時代や地域で使用された元号であり、それぞれの背景には異なる歴史的経緯が存在します。

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