天龍寺

天龍寺（てんりゅうじ）

天龍寺は、京都市右京区の嵯峨に位置する臨済宗天龍寺派の大本山であり、山号は霊亀山（れいぎざん）です。本尊には釈迦三尊が安置されています。正式名稱は霊亀山天龍資聖禅寺（れいぎざんてんりゅうしせいぜんじ）で、開基は足利尊氏、初代住職は夢窓疎石とされています。後醍醐天皇と足利将軍家に関わりが深い禅寺として知られ、「古都京都の文化財」としてユネスコの世界遺産にも登録されています。

歴史

草創期

天龍寺の起源は、平安時代に遡ります。この地にはもともと嵯峨天皇の皇后、橘嘉智子によって設立された檀林寺がありました。しかし、後に荒廃し、1242年から1246年にかけて後嵯峨天皇とその子である亀山天皇が大覚寺統の離宮、亀山殿を建てました。

その後、後醍醐天皇が開いた建武の新政に反発した足利尊氏が軍を起こし、対立が生まれました。1338年、尊氏は征夷大将軍となり、翌年の1345年、後醍醐天皇のために彼の菩提を弔う寺院の設立を夢窓疎石に勧められ、天龍寺が創建されました。当初の寺号は「暦応資聖禅寺」でしたが、尊氏の弟である直義が夢の中で金龍が舞うのを見ることから「天龍資聖禅寺」に改名されました。

創建当初から天龍寺は幾度となく大火に見舞われました。特に、1358年から1380年までに4度の大火が発生し、伽藍がことごとく焼失しました。しかし、1410年以降は京都五山の第一位に栄え、12世紀には約950万平方メートルの広大な寺域に150か寺の子院を抱えていました。

戦国時代以降

戦国時代の天正13年、豊臣秀吉が寺領を寄進しました。その後、慶長伏見地震により建物が倒壊しますが、1604年には徳川家康から寺領の安堵を受けました。しかし、1815年には法堂が焼失し、その後の禁門の変では再び火災に見舞われました。明治時代後半に再建されたものの、火災の影響で昔の面影は多く失われています。現在も名残を留める曹源池庭園を見ることができます。

天龍寺は、数多くの重要な文書も所蔵しており、特に「天龍寺文書」と呼ばれるもので地域の歴史を知る手がかりとなっています。ここには、亀山天皇陵と後嵯峨天皇陵が存在し、当時の歴史的背景を色濃く残しています。

境内

境内は独特な設計が特徴です。勅使門から始まる参道は西へ延びており、これは一般的な禅宗寺院の設計基準に逆らっています。両側には塔頭がずらりと並び、法堂、大方丈、小方丈、庫裏、多宝殿が控えます。ただし、これらの建物は近代に再建されたものです。

法堂は当寺の中心であり、1899年に移築され、2000年には耐震性も考慮して修復されました。その天井には雲龍図があり、加山又造の作品です。大方丈は重要文化財で、平安時代の釈迦如来坐像を本尊とし、火災の影響を受けずに残っています。

また、境内には多くの庭園や茶室も存在し、曹源池庭園は特別名勝として国に指定されています。これらの施設は訪れる人々に静かなひとときを提供しています。

主な行事

天龍寺では年間を通じて様々な行事が行われます。節分祭では豆まきが行われ、後醍醐天皇の命日には法要が行われます。また、開山の忌日には特別な法要も開催されます。

文化財

天龍寺は多くの文化財を有し、個々の井にある庭園や建物はすべて国指定重要文化財です。特に注目すべきは、各種の絵画や仏像であり、彼らは長い歴史の中で伝承されてきた貴重な資産です。

天龍寺は単なる寺院の枠を超え、京都の文化や歴史の象徴的存在となっています。その美しさと荘厳さは、多くの訪問者を魅了し続けています。

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