小林のり一

小林のり一：マルチに活躍した異才のコメディアン

小林のり一（こばやし のりかず）さんは、2022年7月6日に71歳で急逝した、日本のコメディアンであり、漫画家でした。本名は田沼則一（たぬま のりかず）と言い、以前は三木のり一として活動していましたが、結婚後に改名しています。彼の才能は多岐にわたり、舞台、テレビ、映画、漫画、お笑いと、様々なジャンルでその才能を発揮しました。

異才を放ったお笑いセンス

小林さんの持ち味は、何と言ってもその独特な世界観と雰囲気から生まれるお笑いセンスでした。それは、永六輔や立川談志といった著名人からも高く評価されており、木村万里プロデュースのお笑いライブにも出演していました。また、漫画家の赤塚不二夫とも親交があり、対談も行っています。

知られざる交友関係

小学校から高等部まで玉川学園に在籍し、中学部から高等部の同級生には石川セリ、川口厚、中学部の先輩には江戸家猫八 (4代目)、高等部の先輩には風間杜夫、同級生には志垣太郎がいました。中学生の頃から人形町末廣に入りびたり、15歳で寄席の高座に上がるなど、早くから芸能の世界に足を踏み入れていました。古今亭志ん生の最後の弟子を自称していたことでも知られています。

晩年

三木のり平がナレーションを務めていた桃屋のテレビCMを、のり平の死後2代目としてナレーションを務めています。2022年7月6日に71歳で急逝。亡くなる数日前に日刊ほぼイトイ新聞の特集「色物さん。」のインタビューで語ったのが最後の仕事となりました。訃報は、小林と親交のある記者がいる毎日新聞がいち早く報じました。

2022年10月19日、東京・上野広小路亭で開催された桂文字助追善落語会「もう一度、文字助の話をしよう」では、2月に開催された第一回の文字助追善落語会に出演後に死去したのり一を偲ぶトークも行われました。

父・三木のり平との関係

父親は、昭和を代表する喜劇役者・三木のり平でした。仕事では何度も共演したものの、私生活では三木が育児に一切関わらなかったため、父子としての触れ合いはあまりなかったようです。しかし、独立後、三木の危篤の知らせを受けて病院に駆けつけ、病床の三木に喜劇役者として最も多忙だった昭和30年代の様子が書かれた本を朗読した際、三木が懐かしそうにうなずいたことが、小林さんにとって父との距離が最も近づいた瞬間だったと言います。2020年には、演芸評論家の戸田学の協力により、父・三木のり平の生涯と多彩な活動をまとめた「何はなくとも三木のり平」を出版しました。

映画出演

姉妹坂（1985年、東宝映画） - 警官 役
彼のオートバイ、彼女の島（1986年、東宝 / 角川映画）
四月の魚（1986年、ジョイパックフィルム / ピー・エス・シー） - 助監督
日本殉情伝 おかしな二人 ものくるほしきひとびとの群れ（1988年、フィルムリンク・インターナショナル） - 与太 役
怖がる人々（1994年、サントリー / 松竹） - 弟 役
SF サムライ・フィクション（1998年、SF製作委員会） - 按摩の市 役
淀川長治物語 神戸篇 サイナラ（2000年、武市プロ / PSC）
Stereo Future SF episode 2002（2001年、SF製作委員会） - 衣装さん 役
理由（2004年、アスミック・エース エンタテインメント） - 出版社の編集長 役
ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎（2008年、東映） - のり平鬼太郎 役（声の出演）

テレビ出演

男は度胸（1970年、NHK）- 床屋の丁稚 役
桃から生まれた桃太郎（1972年、NHK）- ケンネル・ボーイ　役
達磨大助事件帳 第6話「血染めの恋友禅」（1977年、テレビ朝日 / 前進座 / 国際放映） - 手代 役
結婚前夜 消えた殺人事件（1985年、フジテレビ）
鶴ちゃんのプッツン5（1986年 - 1994年、日本テレビ）
TV海賊チャンネル（1984年 - 1986年、日本テレビ）
エプロンおばさん（1983年、フジテレビ）
シャボン玉の消えた日（1989年、日本テレビ）
高城剛X（1994年、テレビ東京）
理由（2004年、WOWOW） - 出版社の編集長 役

CM出演

桃屋「ごはんですよ!」 他
日清食品「シーフードヌードル」
富士フイルム「写ルンです」
キャドバリー・ジャパン「クロレッツガム」

著書

『何はなくとも三木のり平　父の背中越しに見た戦後東京喜劇』（戸田学編、青土社、2020年）

舞台

オバラ座の怪人20面相（2004年） - 小林元少年 役 他

漫画

* ミチルくん（1981年、ビックリハウス）

小林のり一さんは、その多彩な才能で多くの人々を魅了し、惜しまれながらもこの世を去りました。彼の残した作品は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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