山口線

山口線：山陰と山陽を繋ぐ、SLと観光のローカル線

山口線は、山口県新山口駅から島根県益田駅までを結ぶ、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運営する地方交通線です。全長93.9kmの非電化単線で、山陽本線と山陰本線とを繋ぐ重要な役割を担っています。沿線には、歴史と自然豊かな町並みが広がり、観光客にも人気の路線となっています。

魅力的な沿線地域と観光

山口線は、単なる交通手段としてだけでなく、豊かな自然と歴史に触れられる観光路線としても魅力的です。新山口駅を起点に、山口市の中心部を通り、中国山地西部を横断し、島根県西端へと至るルートは、変化に富んだ風景を見せてくれます。

特に有名なのは、山口市内の湯田温泉。古くから湯治場として栄え、多くの観光客が訪れます。また、島根県津和野町は、「山陰の小京都」と呼ばれる風情ある町並みで知られており、歴史的な建造物や美しい自然が調和した景観は、多くの観光客を魅了します。

さらに、山口線は全長に渡り国道9号とほぼ並行しているため、ドライブと鉄道旅行を組み合わせた旅も楽しめます。

SLやまぐち号：復活運転の成功例

山口線で最も有名なのは、SL（蒸気機関車）やまぐち号でしょう。国鉄時代（日本国有鉄道）の1975年にSLの運転が終了した後、地元住民や鉄道ファンの熱意によって1979年に運行が再開されました。C57形1号機を先頭に、レトロな客車を連結したこの列車は、多くの観光客を運び、日本におけるSL復活運転の先駆けとなりました。この成功は、各地でSL運転の復活につながる大きな契機となりました。

運行形態：普通列車と特急列車の運行

山口線では、普通列車に加え、特急列車も運行されています。特急「スーパーおき」は新山口駅から米子駅・鳥取駅までを結び、山陰地方へのアクセスを向上させています。この列車はキハ187系気動車を使用しており、振り子式車両ではありますが、山口線内では振り子機能は停止されています。

普通列車は、おおむね新山口駅～山口駅・宮野駅間と、山口駅～津和野駅～益田駅間で運転系統が分かれています。全線直通列車は少なく、多くの列車は区間運転となっています。新山口駅～山口駅間は、沿線に高校や大学も多いことから、日中を中心に比較的本数は多く運行されていますが、山口駅以遠は時間帯によっては列車の間隔が空きます。

全線でワンマン運転が実施されており、無人駅では車内での運賃精算が行われます。

歴史と将来：電化計画や貨物輸送

山口線は1913年に部分開業し、その後段階的に延伸され、1923年に全通しました。開業当初は軽便鉄道が存在していましたが、国鉄山口線の開業と共に廃止されました。戦後には、宇部線との直通運転のための電化計画がありましたが、実現には至りませんでした。現在も山口市では、新山口駅～山口駅間の電化と宇部線直通運転の構想があります。

貨物輸送は、2014年にJR貨物によって廃止されましたが、2018年の西日本豪雨で山陽本線が不通になった際には、一時的に貨物列車の迂回輸送が行われました。

利用状況と課題

近年、山口線の利用状況は、特に宮野駅～益田駅間では課題を抱えています。JR西日本は2022年に発表した資料で、この区間の輸送密度が2,000人/日未満であることを公表し、営業係数や赤字額も明らかになりました。これを受け、JR西日本と沿線自治体との間で、利用促進や路線の在り方に関する協議が開始されています。山口市では、新駅の設置構想などを含め、利用促進に向けた取り組みを積極的に進めています。

その他

山口線に関する情報は、様々な書籍やドキュメンタリー番組で紹介されています。これらの資料を通して、山口線の歴史や現状、そして未来についてより深く知ることができます。

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