島津忠秀

島津忠秀（しまづ ただひで）は、1912年（明治45年）3月27日に生まれ、1996年（平成8年）7月9日に没した、日本の水産学者、切手収集家、そして実業家です。島津氏第31代当主としても知られています。

生涯

島津忠秀は、第30代当主・島津忠重と伊楚子（徳大寺実則の五女）の長男として東京府に生まれました。母方の従姉妹には香淳皇后がいます。父は海軍兵学校に進み軍人となりましたが、忠秀自身は父から「好きなことをやれ」という言葉を受け、軍人の道ではなく、自らの興味を追求しました。旧制学習院高等科を経て、川村多実二、駒井卓、岡田要といった学者に憧れ、京都帝国大学理学部に進学しました。大学卒業後は農林省に入省し、水産研究の道に進みます。

戦後は、淡水区水産研究所で河川部長、養殖部長、そして副所長を歴任し、アユの生態解明や養殖法の研究に尽力しました。37年間の研究職公務員としてのキャリアを終えた後は、島津興業の会長を務める一方で、鹿児島大学水産学部で講義を行うなど、後進の育成にも貢献しました。

また、動物切手の収集家としても世界的に知られており、「島津 安樹朗（しまづ あきお）」の筆名で著作を発表しています。

私生活では、元夫人の昭子（近衛文麿の長女）との結婚、そして戦後の混乱期に昭子が整体師と駆け落ちした「昭和のノラ事件」が世間を騒がせました。

1992年、84歳でその生涯を閉じました。長男の忠敬は早世したため、次男の島津修久が家督を相続しています。

栄典

1932年（昭和7年）4月15日 - 従五位
1936年（昭和11年）5月1日 - 正五位
1942年（昭和17年）5月15日 - 従四位

家族

父：島津忠重（島津氏第30代当主）
母：島津伊楚子（徳大寺実則の五女）
妻：島津昭子（近衛文麿の長女）
長男：島津忠敬（早世）
次男：島津修久（島津氏第32代当主）
長女：滋子（大島義隆夫人）

著書

『動物切手』切手文化叢書　切手趣味社　1942
島津安樹朗『切手で見る動物図鑑 哺乳類篇』蒼風書院　1955
『動物切手総目録』切手趣味社　1958

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