徳川家継

徳川家継：若き将軍の生涯

徳川家継（とくがわ いえつぐ）は、江戸幕府の第7代将軍として、1713年から1716年まで在任しました。彼は、江戸幕府の歴代将軍の中で最も若い年齢で将軍に就任し、また、最も若い年齢で亡くなった人物としても知られています。

将軍就任までの道のり

1709年、徳川家継は第6代将軍・徳川家宣の四男として、江戸城西の丸で誕生しました。幼名は世良田鍋松といいました。家宣には、他にも子供がいましたが、いずれも夭逝しており、鍋松が唯一の生き残りでした。

1712年、父・家宣が病に倒れると、後継者問題が浮上しました。家宣は、新井白石と間部詮房に後継者を託す遺言を残したとされています。当初、尾張藩主の徳川吉通を推す声もありましたが、最終的に白石の進言により、幼少の鍋松が将軍となることが決定しました。白石は、吉通が将軍となると、幕府内で混乱が起こる可能性を懸念したためです。

将軍家の慣例では、世子は元服後に将軍を継ぐことになっていましたが、家宣の死去により、鍋松は元服前に将軍を継ぐことになりました。そのため、朝廷に依頼し、霊元上皇が鍋松に「家継」という諱を授けました。これにより、家継は朝廷から諱を授けられた唯一の将軍となりました。

1713年、家継は元服の儀式を行い、正式に第7代将軍に就任しました。

側近政治

幼少の家継に代わり、幕政は生母・月光院や側用人の間部詮房、顧問格の新井白石らが主導しました。この時期、大奥の女性たちの行動範囲が広がり、月光院と詮房の間には、不倫の噂も流れました。1714年には、大奥を舞台とした江島生島事件が起こっています。

家継自身は、白石から帝王学の教育を受け、その才能を認められていましたが、幕政においては、白石と詮房が次第に老中たちの巻き返しに押され気味となり、政治運営は難航しました。

家継は、霊元天皇の皇女との縁談が進められていましたが、実現には至りませんでした。

夭折

家継は、1716年にわずか8歳（満6歳）で亡くなりました。死因は、風邪の悪化による急性肺炎とされています。増上寺に葬られ、死後、正一位太政大臣を追贈されました。

家継の死により、家宣の血筋は途絶え、後継者問題が再燃しました。最終的に、紀州藩主の徳川吉宗が第8代将軍に迎えられました。

人物・逸話

『徳川実紀』には、「生来聡明にして、父家宣に似て仁慈の心あり。立居振舞いも閑雅なり」と記されています。また、増上寺の改葬時に家継の棺が開けられた際には、遺骨はほとんど残っておらず、遺髪と爪、刀などの遺品のみが見つかりました。血液型はA型でした。

関連作品

徳川家継を題材とした、または関連する作品として、以下のようなものがあります。

テレビドラマ
大奥（1983年）
八代将軍吉宗（1995年）
忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣〜（2017年）
映画
大奥（2006年）
漫画
よしながふみ『大奥』

参考文献

「徳川幕府家譜」『徳川諸家系譜』 第一、続群書類従完成会、1970年7月30日。
山口和夫「霊元院政について」

外部リンク

* 『徳川家継』 - コトバンク


家継は、幼くして将軍となり、短い生涯を終えた人物ですが、その時代は、側近政治や後継者問題など、様々な出来事が起こった時代でした。彼の生涯は、江戸幕府の歴史を語る上で、重要な一部分を担っています。

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