指導要録

指導要録とは

指導要録は、日本の学校教育において、幼児、児童、生徒、学生の学籍に関する情報と、学校での指導の過程や結果を記録する公式な文書です。この記録は、その後の生徒指導や、外部への証明書発行の際の基礎資料として活用されます。学校教育法施行規則第24条第1項において、各学校の校長が作成を義務付けられています。指導要録は、教育課程と深く関連しており、学習指導要領の改訂に合わせて、その様式も変更されてきました。

指導要録の構成

指導要録は、大きく分けて「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」の二つの部分から構成されています。

1. 学籍に関する記録:
学級、整理番号
児童・生徒の氏名、生年月日、性別、現住所
保護者の氏名、現住所
入学前の経歴
入学・編入学等の記録
転入学の記録
転学・退学等の記録
卒業に関する記録
進学先・就職先等
学校名及び所在地
校長氏名印・学級担任者氏名印

学籍に関する記録は、卒業後20年間保存することが義務付けられています（学校教育法施行規則第28条第2項但書）。

2. 指導に関する記録:
各教科の学習の記録
観点別学習状況
評定
総合的な学習の時間の記録
特別活動の記録
行動の記録
総合所見及び指導上参考となる諸事項
出欠の記録

指導に関する記録は、卒業後5年間保存することが義務付けられています（学校教育法施行規則第28条第2項）。

指導要録の取り扱い

指導要録の作成や保存に関する規定は、学校教育法施行規則第24条および第28条に詳細に定められています。児童・生徒が進学や転校する際には、その写しが進学先や転校先の学校長に送付されます。指導要録は、外部への証明の原本となるものであり、調査書は通常、その写しとして扱われます。

公立学校における指導要録の様式は、教育委員会が決定します（昭和36年5月29日文部省初中局長回答）。

指導要録は、通常、1学年に1つ作成されます。ただし、原級留置（留年）となった場合には、新しい指導要録を作成し、前のものと併用して使用します。

指導要録に関する判例

指導要録の開示に関する裁判例として、大阪高等裁判所平成11年11月25日判決があります。この判決では、市町村の個人情報保護条例に基づき開示請求された指導要録について、教師の主観的な評価を含む「所見」欄などの開示を拒否することは許されないと判断されました。この判例は、指導要録が単なる記録ではなく、生徒の成長を総合的に捉えた情報であることを示しています。

指導要録と関連する資料

通知表: 指導要録の一部を要約したもので、保護者向けに学習状況を伝える文書です。
* 文部科学省の通知等: 指導要録に関する文部科学省の通知や報告書が公開されています。

まとめ

指導要録は、学校教育における児童・生徒の学籍と学習状況を記録する重要な文書です。法令に基づき適切に作成、管理される必要があり、進学や就職など、生徒の将来にも深く関わる情報が含まれています。指導要録の適切な取り扱いは、生徒の成長と権利を守るために不可欠です。

もう一度検索