斜視

斜視（しゃし）についての詳細な解説

概要

斜視とは、一方の眼は目標に向かっているが、もう一方の眼が異なる方向を向く状態を指します。教室など近距離での視認が困難である実感は、個人によってさまざまです。京都大学の研究によると、約80種類もの斜視病があり、日本ではおおむね50人に1人がこの症状を抱えているとされています。俗に「眇（すがめ）」「ひんがら目」「ガチャ目」などとも呼ばれています。

原因

斜視の原因にはさまざまな説がありますが、遺伝が考えられるものの、具体的なメカニズムは未解明です。他にも、強度の近視や遠視、視力を失うこと、さらには乳幼児期の弱視も影響を与えます。また、外傷や脳腫瘍が原因となる場合があります。

症状

斜視による明確な症状には、美容的なデメリットのほか、立体視に必要な両眼視差が利用できなくなることがあります。この結果、両目の映像がそれぞれ異なり、複視が生じることもあります。立体視の形成は生後2ヶ月から2歳までに行われるため、その時期に恒常性の斜視が続くと、手術後も立体視の獲得が難しくなります。

人の目は、片方が左右のずれを捉え、もう片方が奥行きのずれを捉えることで立体視を実現しています。両眼視機能を失った場合、利き目がそのすべての役割を果たさなければならず、結果として利き目に負担がかかり、視力差や複視が引き起こされることになります。特に幼少期にこのような状態が続くと、視力の低下が進行し、斜視が悪化したり、弱視となるリスクが高まります。

日常生活への影響

重度の斜視がある場合、外見が気になるためにいじめや差別、対人恐怖症などが発生することがあります。現在では美容目的の手術も行われており、特に幼少期には早期の治療が効果的とされています。両眼視差が欠如すると、物体の距離を正しく測ることが困難になり、特に球技や階段の昇降で危険が増します。ただし、日常生活の中で工夫によって補うことも可能です。

幼少期の発症による影響

幼少期に斜視が発症すると、特に視力の発達が未熟な段階で持続した場合、視力の形成に深刻な影響を及ぼす可能性があります。多くの場合、視力未熟な眼は「利き目」としての役割を失い、それにより文字を書いたり線を引いたりする際にも影響が出てきます。特に、先天性の斜視では当人が自覚しないまま遅れることも多いです。

後天的両眼視の獲得

一部の研究者によっては、大人になってからの両眼視機能の獲得事例も存在します。例えば、スーザン・R・バリー博士は専門医の指導の下、特別な視覚療法を受けた結果、両眼視機能を獲得した経験を著書「Fixing My Gaze」にて説明しています。ここでは、いくつかの視覚トレーニングが紹介されています。

代表的な視覚療法

• - Brock Stringトレーニング: 紐とビーズを使用して、目の協調を高める訓練。
• - プリズムレンズトレーニング: 特殊なレンズを使い、視覚情報の統合を図る。
• - ステレオグラム: 三次元イメージを認識するトレーニング。
• - 視覚追跡エクササイズ: 動く対象を追うことで、目の筋肉を強化するエクササイズ。

まとめ

斜視はしばしば見過ごされがちな症状ですが、その影響は身体的、心理的に多岐にわたります。適切な治療と早期のアプローチが求められる障害ですが、科学の進展により後天的な視覚改善も期待されています。引き続き、専門医の診断と治療が重要です。

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