新長谷寺

新長谷寺（しんちょうこくじ）

新長谷寺は、岐阜県関市長谷寺町に位置する真言宗智山派の寺院です。山号を吉田山と称し、地元では「吉田観音（きったかんのん）」の名で広く親しまれています。本尊として十一面観世音菩薩を祀り、その歴史と文化的な価値から、「美濃の法隆寺」とも呼ばれています。

歴史

新長谷寺は、後堀河天皇の勅願により、貞応元年（1222年）に護忍上人によって開創されました。嘉禄2年（1226年）までに七堂伽藍と十六の子院が建立され、寺は大きく発展しました。しかし、正安2年（1300年）の戦火で伽藍は焼失。その後、稲葉城主二階堂出羽守行藤によって再建されましたが、長禄元年（1457年）に再び戦火に見舞われ、一部の建物を焼失。その後、三河守源頼秀らが周運阿闍梨を助け、寺は再興されました。

明治元年（1868年）の廃仏毀釈により、多くの子院が廃され、寺の規模は縮小されましたが、現存する檜皮葺きの堂塔は室町時代中期頃に建立されたものです。これらの建物は、江戸時代に度重なる修復と明治時代の大規模な修理によって様式が大きく変更されましたが、昭和25年（1950年）からの解体修理によって、明治時代に改変された部分が復元され、桟瓦葺屋根も檜皮葺きに戻され、昭和35年（1960年）に室町時代の様式が復元されました。

文化財

新長谷寺には数多くの文化財が所蔵されており、その中でも特に重要なものが下記になります。

重要文化財

本堂: 寛正元年（1460年）に再建された、方五間、入母屋造、檜皮葺の建物です。1909年（明治42年）に重要文化財に指定されました。
三重塔: 寛正4年（1463年）に再建された、高さ20.1mの檜皮葺の塔です。本堂と同じく1909年（明治42年）に重要文化財に指定されています。
大師堂: 室町時代後期に建てられた、方三間、寄棟造、檜皮葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
阿弥陀堂: 室町時代後期に建てられた、方三間、入母屋造、檜皮葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
釈迦堂: 室町時代後期に建てられた、方三間、寄棟造、檜皮葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
薬師堂: 室町時代後期に建てられた、正面四間、側面三間、寄棟造、檜皮葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
鎮守堂: 室町時代後期に建てられた、三間社流造、檜皮葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
客殿: 江戸時代前期に建てられた、寄棟造、銅板葺の建物です。1953年（昭和28年）に重要文化財に指定されました。
木造十一面観音立像: 長谷寺の十一面観音と同じ木で作られたと伝えられる秘仏で、鎌倉時代の作とみられています。午歳3月に開帳されます。
厨子入木造阿弥陀如来立像: 鎌倉時代の作で、秘仏として毎年3月18日に開帳されます。

関市指定文化財

仁王門（二の門）: 宝暦3年（1753年）に徳川家によって再建された門で、昭和37年に現在の位置に移築されました。正面には運慶作と伝わる金剛力士（仁王）像が安置されていますが、実際の作者は不明です。背面には創建当時、狛犬が祀られていました。

行事

新長谷寺では、年間を通して様々な行事が執り行われます。

2月3日: 星まつり
2月18日: 初観音
8月9日: 九万九千日供養

基本情報

所在地

岐阜県関市長谷寺町1

交通アクセス

長良川鉄道関口駅より徒歩10分
長良川鉄道関駅より徒歩15分
岐阜バス「吉田町」バス停より徒歩2分
JR岐阜駅バスターミナル14番のりば、岐阜バスターミナルC番のりば、高山本線鵜沼駅、名鉄各務原線三柿野駅より「せき東山」「川合車庫」行きに乗車
名鉄バスセンター4階3番のりばより高速バス「美濃市駅」行きに乗車（名鉄バスと共同運行）
関市内巡回バス「吉田町」バス停より徒歩2分
* 関市内巡回バス「吉田観音前」バス停より徒歩5分

新長谷寺は、その歴史と文化、美しい自然に囲まれた、訪れる人々を魅了する場所です。四季折々の風景も美しく、心静かに過ごしたい方におすすめの寺院です。

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