日本書紀

日本書紀（にほんしょき、やまとぶみ、やまとふみ）

概要

『日本書紀』は、奈良時代の720年に成立した日本最古の歴史書です。『古事記』と並び、日本に残る最も古い史書の一つであり、六国史の第一に位置付けられています。この書は、神代から持統天皇の時代までを扱い、全30巻で構成されています。系図が含まれる1巻が付属していましたが、その部分は現在は失われています。

構成と特徴

『日本書紀』は、天地創造から始まる神代をはじめ、日本の天皇の系譜や事績を年代順に記述しています。全体は漢文で書かれていますが、128首の和歌が万葉仮名を使って含まれています。近年の研究では、漢文中に現れる日本語的特徴や独特の表現が「和習」として注目されています。『日本書紀』は伝統的には純漢文として扱われますが、和習を多く含むため、変格漢文の性格も持っています。

さらに、干支による紀年、和歌の多さ、分註の豊富さなどは『日本書紀』の特異な特徴であり、他の歴史書と比較して際立っています。また、多数の著者が関与しているとされ、その結果、全体の構成は統一感が欠ける点が見られます。この多様な起源を持つため、近代以降、各巻の特徴による分類が多くの研究で行われています。

『日本書紀』の編纂には、多様な資料が参照され、その中には日本の古記録だけでなく、百済の系譜に属する記録も含まれています。特に、朝鮮の事情や対外関係の歴史が詳しく記述されている点が独特です。古代日本の歴史を解明するための重要な史料とされていますが、利用する際には厳格な資料批判が必要です。

成立過程と歴史的背景

果たして『日本書紀』はどのようにして成立したのでしょうか？その背後には、長い間にわたる歴史的記録の蓄積がありました。推古朝における文字の使用が進んだことが記録の整備に寄与したとされています。特に「帝紀」や「旧辞」が統合され、6世紀には口承による伝承がまとめられる方向性が見られます。

推古28年（620年）には、『天皇記』や『国記』が編纂されたとの記録が残っていますが、現在これらは失われており、分散的な歴史的記録がどのようにして一冊の書物に集約されたのかは謎が残っています。その後、646年の乙巳の変の際、これら資料の一部が焼失したとも伝えられています。

『日本書紀』の編纂は、天武[[天皇]]時代の681年に皇太子が編纂を命じたことから始まるという説が一般的ですが、その詳細な経緯は明らかではありません。近年では笹川尚紀や高寛敏の研究により、持統天皇の卒去後に編纂が行われたとの見解が新たに提起されています。

書名と読み方

『日本書紀』という書名は、成立時からの原名として広く受け入れられていますが、当初の名称については議論があります。元々は『日本紀』と呼ばれていた可能性があるほか、近代以降の研究によって『日本書紀』が正式名称であるとの説が強まっています。読み方についても、現在は「にほんしょき」とされることが多いですが、「にっぽんしょき」という見解も根強く残っています。

原資料とその体系

『日本書紀』は多様な原資料に基づいて編纂されました。包括的な記録の中には、天皇や皇族の系譜や過去の出来事の記録、地方に伝えられた物語、そして外部の歴史書からの影響も見られます。これらの情報は、編纂者によって整理され、重要な記録としてまとめられました。

現存本とその評価

現在でも『日本書紀』は多くの写本が存在し、多くの研究・注釈が行われています。そのため、歴史的資料としての信憑性が重要視され、さまざまな観点から読み解かれることになっています。『日本書紀』は、日本の歴史を知る上で必要不可欠な文献であり続けています。

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