昆陽寺

昆陽寺の魅力と歴史

昆陽寺（こんようじ）は、兵庫県伊丹市寺本に位置する高野山真言宗に属する寺院です。山号は崑崙山（こんろんさん）で、本尊は薬師如来です。この寺院は、行基によって創立された畿内49院の一つであり、地元では親しみを込めて「こやでら」や「行基さん」と呼ばれています。

歴史のはじまり

昆陽寺の歴史は、天平3年（731年）に遡ります。この年、行基が昆陽池の造成を行った同時期に、貧困層の支援を目的とした「昆陽施院」を設立しました。この活動が、後の昆陽寺の起源とされており、地元の人々にとって重要な施設となりました。

天平5年（733年）には、当時の第45代聖武天皇の勅願寺に指定され、寺の伽藍が整備されるとともに、36坊の子院が設けられました。これにより、周辺地域の開墾と荘園化が進み、寺は繁栄を極めました。しかし、天正7年（1579年）の有岡城の戦いにより、寺は焼失してしまいましたが、その後復興されました。江戸時代には、9つの塔頭（たっちゅう）を有していました。

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、昆陽寺も大きな被害を受けましたが、復旧作業が進められ、現在は多くの文化財が維持されています。本尊である薬師如来像は、行基自身の手によるものと伝えられ、開山以来秘仏として祭られていましたが、現在は一般に公開されています。

境内の見どころ

昆陽寺の境内には、多数の文化財や見どころが点在しています。

• - 本堂（薬師堂）：瑠璃殿とも呼ばれ、本尊の薬師如来像を祀っています。阪神・淡路大震災で倒壊しましたが、1997年に再建されました。

• - 行基堂（開山堂）：元禄年間（1688年 - 1704年）に再建され、行基菩薩と脇侍の文殊菩薩・普賢菩薩を祀っています。

• - 観音堂：兵庫県の指定有形文化財であり、寛永年間（1624年 - 1645年）に再建された十一面観音が祭られています。

• - 山門（仁王門）：明暦年間（1655年 - 1658年）に再建され、重要な文化財として知られています。

境内には他にも弁天堂、庫裏、白長神社、稲荷社、鐘楼などがあり、様々な行事や祭りも行われています。特に「行基さん祭り（4月）」や「昆陽寺まつり（8月）」は地元の人々に親しまれ、賑わいを見せます。

文化財と年中行事

昆陽寺は、兵庫県の指定有形文化財を多数有しています。山門や観音堂、木造の広目天立像及び多聞天立像など、文化的に価値の高いものがあるため、訪れる観光客にとっては興味深いスポットです。昆陽寺は「西国薬師四十九霊場」の一つでもあり、巡礼者にとっても重要な存在です。

アクセス

昆陽寺へのアクセスは、伊丹市営バス及び阪神バスの昆陽里（こやのさと）バス停から徒歩約3分と便利です。自然豊かな周辺環境の中で、昆陽寺の静謐な雰囲気を感じながら、古の歴史と文化に触れることができる特別な時間を過ごせます。

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