昔昔亭A太郎
昔昔亭A太郎（せきせきてい えーたろう）は、1978年6月8日生まれの日本の落語家です。公益社団法人落語芸術協会に所属する真打であり、人気落語家たちによるユニット『成金』の主要メンバーであり、その名称を考案した名付け親としても知られています。本名は町野 博亮。
岐阜県岐阜市で生を受け、京都府京都市で育ちました。京都市立松原中学校、京都府立山城高等学校を経て、駒澤大学を卒業。当初はテレビ番組の制作に携わることを志し、制作会社に就職しました。裏方の仕事を目指していた彼は、偶然、寄席で師匠となる昔昔亭桃太郎のナンセンスな落語に感銘を受け、その道を捨てて落語家を志すことになります。
2006年2月、昔昔亭桃太郎に門下生として入門。修業を積み、2010年2月には二ツ目に昇進を果たしました。前座時代は主に自作の新作落語を中心に高座を務めていましたが、二ツ目に昇進してからは古典落語にも真摯に取り組み始めます。現在では、伝統的な古典落語と現代的な新作落語、その両方を演じ分ける「二刀流」のスタイルを確立しています。
2015年12月には、第1回渋谷らくご特別賞において「奇妙な二ツ目賞」を受賞し、その個性的な才能が評価されました。そして、2020年5月には、瀧川鯉八、桂伸衛門と共に真打昇進が決定。この昇進は、日本の落語界において史上初めてアルファベットが高座名に入った真打の誕生という歴史的な出来事となりました。当初予定されていた真打昇進披露興行は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、秋まで延期されましたが、同年10月11日、新宿末廣亭を皮切りに無事スタートしました。
人物像としては、身長180cmと恵まれた体格を持ちます。学生時代はスポーツに打ち込み、小学校ではサッカー部、中学校では野球部、高校ではラグビー部（ポジションはFB）、大学ではアメリカンフットボール部（ポジションはDF）に所属していました。お笑い番組の制作を目指し、テレビ番組制作会社（ザ・ワークス、山中企画など）に入社した経緯を持ち、ドラマ班でアシスタントディレクターを務めた経験があります。その後、放送作家の養成スクールに通う中で、ネタ見せオーディションを通じて落語家に出会い、「自分でネタを書くよりも、自分で演じた方が早い」との思いから、寄席通いを始めました。
特に、落語芸術協会の爆笑王と称される師匠・昔昔亭桃太郎の高座に強く惹かれ、浅草演芸ホールでの出待ちを経て入門を願い出ました。その際、決意の表れとしてスキンヘッドで臨んだところ、師匠から「用心棒みたいだな。じゃあ入れてやる」と、予想外にあっさり入門が許可されたというエピソードがあります。断られることを覚悟していたため驚いたそうですが、師匠がヤクザ映画を好んでいたことも理由の一つではないかと推測しています。
ユニット『成金』の名付け親になった経緯もユニークです。神田松之丞師（現・六代目神田伯山）や桂伸三師が発起人となり集まった11人のユニットは、メンバー全員の合議制で運営されており、ユニット名を決める際には、全員がそれぞれ10個の案を持ち寄りました。最終的に「きんよる」と「成金」の二つに絞られ、多数決によって「成金」が6対5という僅差で選ばれました。この「成金」という名前を提案したのがA太郎本人であり、「成り上がり」という意味合いに加え、公演が主に金曜日に行われることも掛けているといいます。
落語家としての活動の中で、2016年の夏から冬にかけて一時、表舞台から遠ざかる空白の期間がありました。この世界で生きていく厳しさに直面し、深く悩み、外部との連絡を絶つほど精神的に追い詰められ、うつ病に近い状態だったといいます。師匠からの電話にも出られず、通常であれば破門も免れない状況でしたが、師匠はA太郎の親御さんと連絡を取り、岐阜の実家で休養することを命じました。当時の仲間であった鯉八師や昇々師も岐阜まで見舞いに訪れ、仕事も代行してくれたといいます。しばらくして師匠から連絡があり、師匠の会に呼ばれたことが復帰のきっかけとなりました。復帰が決まると、『成金』のメンバーからも温かいメールが届いたそうです。師匠のさりげない優しさと、仲間の深い気遣いが支えとなりました。
高座以外での活動として、「小空みる子」という架空のキャラクターに扮することもあります。また、復帰後にタップダンスと日本舞踊を習い始めました。日本舞踊は歌舞音曲の一つとして花柳流の師範に師事し、2017年には国立劇場、2019年には京都能楽堂という大舞台での出演を果たしています。自身が開催する内幸町ホールでの独演会は、9回目を迎えるまでに全公演が完売するなど、高い人気を誇っています。
家族との関わりでは、2歳年上の兄・町野洋亮氏が岐阜市で「敷島珈琲店」を経営しており、そこで定期的に落語会を開催しています。高座の特徴の一つとして、通常客席からの撮影が禁止されている場合でも、可能な限り自身の「撮影タイム」を設け、観客が写真を撮れるようにポーズをとることが挙げられます。撮影した写真は各種SNSへのアップロードも許可しており、ファンサービスを欠かしません。私生活では、乾燥肌のため入浴後の保湿を欠かさないことや、整髪料にセブンイレブンで販売されている「40才以上からのハードジェル」を愛用しているといった一面も持ち合わせています。甥っ子からは親しみを込めて「A太郎くん」と呼ばれているそうです。
メディアへの露出も多く、2019年にはYouTube配信のWebドラマ『A太郎の区区たる問題』（黒川麻衣監督）でドラマに初挑戦し主演を務めました。舞台では、2025年5月上演予定の「華麗なる散歩の会 第5回公演」への出演が発表されています。また、CMにも起用されており、2021年5月からはアディーレ法律事務所の「身近がよろしいようで」シリーズに、2022年10月からはこくみん共済 coopのマイカー共済のCMに出演しています。
岐阜県岐阜市で生を受け、京都府京都市で育ちました。京都市立松原中学校、京都府立山城高等学校を経て、駒澤大学を卒業。当初はテレビ番組の制作に携わることを志し、制作会社に就職しました。裏方の仕事を目指していた彼は、偶然、寄席で師匠となる昔昔亭桃太郎のナンセンスな落語に感銘を受け、その道を捨てて落語家を志すことになります。
2006年2月、昔昔亭桃太郎に門下生として入門。修業を積み、2010年2月には二ツ目に昇進を果たしました。前座時代は主に自作の新作落語を中心に高座を務めていましたが、二ツ目に昇進してからは古典落語にも真摯に取り組み始めます。現在では、伝統的な古典落語と現代的な新作落語、その両方を演じ分ける「二刀流」のスタイルを確立しています。
2015年12月には、第1回渋谷らくご特別賞において「奇妙な二ツ目賞」を受賞し、その個性的な才能が評価されました。そして、2020年5月には、瀧川鯉八、桂伸衛門と共に真打昇進が決定。この昇進は、日本の落語界において史上初めてアルファベットが高座名に入った真打の誕生という歴史的な出来事となりました。当初予定されていた真打昇進披露興行は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、秋まで延期されましたが、同年10月11日、新宿末廣亭を皮切りに無事スタートしました。
人物像としては、身長180cmと恵まれた体格を持ちます。学生時代はスポーツに打ち込み、小学校ではサッカー部、中学校では野球部、高校ではラグビー部（ポジションはFB）、大学ではアメリカンフットボール部（ポジションはDF）に所属していました。お笑い番組の制作を目指し、テレビ番組制作会社（ザ・ワークス、山中企画など）に入社した経緯を持ち、ドラマ班でアシスタントディレクターを務めた経験があります。その後、放送作家の養成スクールに通う中で、ネタ見せオーディションを通じて落語家に出会い、「自分でネタを書くよりも、自分で演じた方が早い」との思いから、寄席通いを始めました。
特に、落語芸術協会の爆笑王と称される師匠・昔昔亭桃太郎の高座に強く惹かれ、浅草演芸ホールでの出待ちを経て入門を願い出ました。その際、決意の表れとしてスキンヘッドで臨んだところ、師匠から「用心棒みたいだな。じゃあ入れてやる」と、予想外にあっさり入門が許可されたというエピソードがあります。断られることを覚悟していたため驚いたそうですが、師匠がヤクザ映画を好んでいたことも理由の一つではないかと推測しています。
ユニット『成金』の名付け親になった経緯もユニークです。神田松之丞師（現・六代目神田伯山）や桂伸三師が発起人となり集まった11人のユニットは、メンバー全員の合議制で運営されており、ユニット名を決める際には、全員がそれぞれ10個の案を持ち寄りました。最終的に「きんよる」と「成金」の二つに絞られ、多数決によって「成金」が6対5という僅差で選ばれました。この「成金」という名前を提案したのがA太郎本人であり、「成り上がり」という意味合いに加え、公演が主に金曜日に行われることも掛けているといいます。
落語家としての活動の中で、2016年の夏から冬にかけて一時、表舞台から遠ざかる空白の期間がありました。この世界で生きていく厳しさに直面し、深く悩み、外部との連絡を絶つほど精神的に追い詰められ、うつ病に近い状態だったといいます。師匠からの電話にも出られず、通常であれば破門も免れない状況でしたが、師匠はA太郎の親御さんと連絡を取り、岐阜の実家で休養することを命じました。当時の仲間であった鯉八師や昇々師も岐阜まで見舞いに訪れ、仕事も代行してくれたといいます。しばらくして師匠から連絡があり、師匠の会に呼ばれたことが復帰のきっかけとなりました。復帰が決まると、『成金』のメンバーからも温かいメールが届いたそうです。師匠のさりげない優しさと、仲間の深い気遣いが支えとなりました。
高座以外での活動として、「小空みる子」という架空のキャラクターに扮することもあります。また、復帰後にタップダンスと日本舞踊を習い始めました。日本舞踊は歌舞音曲の一つとして花柳流の師範に師事し、2017年には国立劇場、2019年には京都能楽堂という大舞台での出演を果たしています。自身が開催する内幸町ホールでの独演会は、9回目を迎えるまでに全公演が完売するなど、高い人気を誇っています。
家族との関わりでは、2歳年上の兄・町野洋亮氏が岐阜市で「敷島珈琲店」を経営しており、そこで定期的に落語会を開催しています。高座の特徴の一つとして、通常客席からの撮影が禁止されている場合でも、可能な限り自身の「撮影タイム」を設け、観客が写真を撮れるようにポーズをとることが挙げられます。撮影した写真は各種SNSへのアップロードも許可しており、ファンサービスを欠かしません。私生活では、乾燥肌のため入浴後の保湿を欠かさないことや、整髪料にセブンイレブンで販売されている「40才以上からのハードジェル」を愛用しているといった一面も持ち合わせています。甥っ子からは親しみを込めて「A太郎くん」と呼ばれているそうです。
メディアへの露出も多く、2019年にはYouTube配信のWebドラマ『A太郎の区区たる問題』（黒川麻衣監督）でドラマに初挑戦し主演を務めました。舞台では、2025年5月上演予定の「華麗なる散歩の会 第5回公演」への出演が発表されています。また、CMにも起用されており、2021年5月からはアディーレ法律事務所の「身近がよろしいようで」シリーズに、2022年10月からはこくみん共済 coopのマイカー共済のCMに出演しています。
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