村上英俊

村上英俊について

村上英俊（むらかみ ひでとし）は、1811年5月29日に生まれ、1890年1月13日に亡くなった日本の洋学者でありフランス学者です。彼は名を義茂とし、字は棟梁、また茂亭と号しました。その幼少期には貞介と呼ばれていましたが、英俊は彼の通称です。村上は晩年に松翁とも称した人物で、日本におけるフランス学の先駆者として名を残しています。

彼の故郷は下野国那須郡佐久山で、父は医師の村上松園でした。文政7年（1824年）、村上は父と共に江戸に移り、そこで宇田川榕菴から蘭学を学びます。この学びを通じて、彼は洋学に対する深い理解と知識を蓄えていきます。

天保12年（1841年）、村上は信濃国松代藩主真田幸民に仕官し、藩医としての職務を果たすようになります。この際、彼は佐久間象山の指導を仰ぎながら、ベルセリウスの『化学提要』のフランス語版を和訳しました。この訳書は、村上が科学と医療における貢献もしていたことを示しています。

安政5年（1857年）には、蕃書調所で日仏間の条約を翻訳し、また多くの弟子にフランス語を教えることで、彼自身の学びを広めていきました。この活動の中で、幕命により『三語便覧』『五方通語』『仏蘭西詞林』などの辞書を編纂することが求められます。特に、元治元年（1864年）には、日本初となる本格的な仏和辞典『仏語明要』を編纂し、慶応3年（1867年）には戦術書『仏蘭西答古知機』を和訳しました。

明治元年（1869年）には、彼自身の仏語塾「達理堂」を開き、さらに多くの人々にフランス語教育を施しました。村上はフランス語にとどまらず、化学方面でも広く知られています。特に薬用ヨードの製造やメッキ法、さらには爆薬製造法といった研究も行い、その成果を発表しています。

1882年、村上は東京学士会院（現・日本学士院）の会員に選出され、その業績が広く認められることとなります。さらに1885年にはフランスのレジオンドヌール勲章を受勲し、国際的にも評価される洋学者としての地位を確立しました。

村上英俊は1890年に84歳でこの世を去りました。彼の墓所は青山霊園にあり、今でも多くの人々にその功績が語り継がれています。彼の研究は、日本の洋学、特にフランス学の発展に多大な影響を与え、その後の学者たちにとっても多くのインスピレーションとなりました。彼の名は、フランス語学の始祖として、不朽のものとなっています。

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