東鳴子温泉

東鳴子温泉

東鳴子温泉は、宮城県大崎市、旧鳴子町に位置する、歴史ある鳴子温泉郷の一角を担う温泉地です。荒雄川（江合川）の清流沿いに広がり、豊かな自然に囲まれた静かな環境が魅力です。

泉質

東鳴子温泉の泉質は多岐にわたり、湧出場所によって泉質が異なります。主には以下の泉質がみられます。

塩化物泉
炭酸水素塩泉
硫酸塩泉

これらの多くに共通しているのは、植物性有機物を含むモール泉であることです。モール臭と呼ばれる独特の鉱物臭に加え、一部の湯では重油やシンナーのようなアブラ臭が感じられるのも特徴です。

赤湯地区では、複数の源泉をブレンドした「赤湯共同源泉」が利用されています。陸羽東線より東南側には、田中温泉、高友旅館黒湯、中野温泉、馬場温泉など、個性豊かな温泉が点在しています。江合川を挟んだ赤這地区にも、様々な泉質の湯が湧出しています。

地質

東鳴子温泉一帯の地質は、鳴子湖成層、鳴子火山噴出物、段丘堆積物によって構成されています。中野温泉から胡桃ヶ岳にかけての南西地域では、鳴子湖成層の砂岩やシルト岩が、鳴子火山に接して複雑に堆積しており、火山活動の影響が見られます。地域全体に沖積層の砂礫層が広く分布し、その下には砂礫岩や凝灰岩質砂岩が繰り返し堆積した鳴子湖成層が広がっています。

源泉

温泉の湧出機構については、断層に沿って湧出する説、地下水が帯水層を流れる説、そして両者の中間型という3つの説があります。赤湯地区では、基盤の断層から供給されるエネルギーによって鳴子湖成層中の地下水が温められるとともに、鳴子火山からの火山性高温泉が混入する複合的なメカニズムで温泉が形成されていると考えられています。田中温泉や赤湯には、重炭酸を多量に含む重曹泉が多く湧出しており、比較的低温で塩化物イオンの含有量が少ないのが特徴です。荒雄川北岸地帯では、カルシウムやマグネシウムを豊富に含む温泉が湧出しており、これらの成分は、周辺の岩層から溶け出したものと考えられています。

温泉街

東鳴子温泉は、鳴子温泉中心街から約1.5km離れた、荒雄川沿いの静かな場所に位置しています。かつては川渡村に属し、近隣の温泉地とともに「玉造八湯」として親しまれていました。現在の東鳴子温泉は、このうちの赤湯と田中湯にあたります。

温泉街には14軒の旅館が存在し、駅周辺、江合川対岸、駅から東南の旧道沿いなどに点在しています。駅東南側の温泉は、馬場温泉、田中温泉、中野温泉など、それぞれの地域の名前を冠しています。古くからの湯治場として栄えたため、素泊まりや自炊が可能な宿、混浴浴場を持つ宿が多いのも特徴です。

湯治場としての歴史

東鳴子温泉は、鳴子温泉郷の中でも特に、近隣地域の農民や漁民など、第一次産業に従事する人々の疲労回復や療養の場として重要な役割を果たしてきました。江戸時代には、仙台領内の農民が農閑期に湯治に訪れるのが一般的で、各湯にはそれぞれの効能を求めて固定客がいました。湯治客は基本的に自炊を行い、日用品や食料は持ち込みや宿で購入していました。宿によっては将棋や碁などの娯楽設備が用意され、浴場は混浴が一般的でしたが、身分の高い人のために特別な浴場が設けられることもありました。

共同浴場

温泉街の中央部には、地元住民専用の赤湯共同浴場が設置されています。

歴史

東鳴子温泉は、837年の鳥谷ヶ森の噴火によって鳴子温泉と同時に生まれたと伝えられています。各湯は、赤梅の湯（赤湯）、田中の湯、鷲の湯と呼ばれていました。江戸時代には、赤梅の湯に仙台藩の御殿湯が置かれ、現在の鳴子御殿湯駅の駅名の由来となっています。

837年：『続日本後紀』に温泉湧出の記録。
13世紀：順徳上皇の『八雲御抄』に陸奥の名湯として記載。
江戸時代：赤湯、田中湯として知られる。
1689年：松尾芭蕉が「奥の細道」の旅で通過。
1831年：「田中湯」が病客の沐浴に開放。
1855年：「赤湯」に仙台藩主伊達慶邦夫人が滞在。
1910年：大洪水で温泉街が壊滅するも復興。
1952年：東鳴子駅が開業。
2011年：東日本大震災の被災者の二次避難先となる。
2016年：「鳴子温泉郷」が国民保養[[温泉地]]に指定。

アクセス

鉄道：陸羽東線鳴子御殿湯駅下車
高速バス：仙台駅前からミヤコーバスで中野温泉または東鳴子赤湯下車

関連情報

鳴子温泉郷観光協会
* 東鳴子温泉観光協会

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