松尾寺駅

松尾寺駅：歴史と自然に囲まれた小浜線の駅

京都府舞鶴市吉坂にある松尾寺駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）小浜線の駅です。金沢支社の管轄下にある駅としては最も西側に位置し、同支社では唯一京都府内に所在する駅という特徴を持っています。さらに、JR西日本の近畿地方の駅の中で、近畿統括本部に属さない唯一の駅でもあります。

松尾寺駅は、西隣の東舞鶴駅から6.1km離れており、小浜線内では最長の駅間距離を誇ります。かつては北陸おでかけパスの自由周遊区間や、ハピラインふくい線連絡運輸の範囲に含まれていませんでした。

駅名の由来は、西国三十三所第29番札所である松尾寺です。しかし、このお寺は駅から山の中腹に位置し、徒歩で約50分かかるため、駅からのアクセスには注意が必要です。

歴史を刻む駅舎

松尾寺駅が開業したのは1922年（大正11年）12月20日。小浜線若狭高浜駅～東舞鶴駅間の開通と同時に開業しました。当初は一般駅として旅客と貨物の取り扱いを開始しました。

1943年（昭和18年）には、第三海軍火薬廠への鉄道側線が敷設され、軍需輸送の拠点となりました。戦後、この側線は日本板硝子舞鶴工場の専用線となり、板ガラスの輸送で重要な役割を果たしました。1968年には、板ガラス輸送だけでも年間20万3,000トンに達し、福知山鉄道管理局管内最大の貨物取扱駅となりました。

その後、1973年には荷物扱い廃止、駅員無配置駅となり、1986年には無人駅となりました。1987年の国鉄分割民営化を経て、JR西日本とJR貨物がそれぞれ駅を継承。1997年には貨物列車の設定が廃止され、1999年にはJR貨物の駅が廃止されました。

2008年には、JR西日本から舞鶴市に駅舎が無償譲渡され、改修工事が行われました。翌2009年には、「舞鶴市松尾寺駅前観光交流施設」として生まれ変わり、地元関係者で構成されるNPO法人「駅舎と共にいつまでも」が指定管理者となりました。2018年には、歴史ある駅舎が登録有形文化財に登録され、さらに2019年には、カフェ「サロン・ド・流々亭」がオープンしました。

駅構造と周辺環境

松尾寺駅は、地上駅で単式ホーム1面1線を持ちます。無人駅であるため、自動券売機などの営業機器は設置されていません。かつては貨物線が存在していましたが、現在は撤去され、棒線駅となっています。トイレはカフェ営業時のみ利用可能です。

駅周辺は山間の集落で、北側には岩室稲荷神社、南側には志楽川と国道27号が流れています。駅と国道の間は京都府道563号線が結んでいます。静かで自然豊かな環境の中で、歴史を感じさせる駅舎がひときわ目を引きます。

アクセスと今後の展望

松尾寺駅は、小浜線のローカル線として、地域住民の足として、また、歴史的建造物としての魅力と、カフェ併設による観光拠点としての役割を担っています。歴史と自然に囲まれた独特の雰囲気は、多くの人の心を捉えています。登録有形文化財となった駅舎は、映画のロケ地としても使用され、今後も地域の活性化に貢献していくことでしょう。

周辺には、松尾寺や自然豊かな風景が広がっています。観光客にとっても魅力的な場所であり、今後ますます注目を集めることが期待されます。

もう一度検索