松平忠雄

松平忠雄

松平忠雄（まつだいら ただお）は、江戸時代前期から中期にかけての大名であり、肥前国島原藩の第2代藩主を務めました。深溝松平家の7代当主でもあります。官位は従四位下・阿波守、主殿頭でした。

生涯

延宝元年（1673年）に旗本・深溝松平伊行の次男として生まれました。島原藩初代藩主・松平忠房には実子がおらず、後継者として、貞享3年（1686年）に忠雄が養子に迎えられました。元禄4年（1691年）に世子となり、元禄11年（1698年）に忠房の隠居により家督を継ぎました。

藩主就任後、元禄15年（1702年）から凶作が相次ぎ、さらに元禄期の貨幣経済の浸透によって農業が衰退し、藩財政が悪化しました。長崎商人からの融資を受けるなどして対応しました。宝永3年（1706年）には「島原大概様子」と呼ばれる総検地を行い、以後の島原検地の基礎を築きました。また、武芸を奨励するなどの政策も行っています。

しかし、実子が早世したことから、晩年の忠雄は次第に藩政への意欲を失っていったとされています。享保4年（1719年）には藩内で家臣が殺害される事件が発生し、享保5年（1720年）には堀井四郎右衛門事件が起こりました。さらに、享保11年（1726年）には黒川政勝を登用し、彼に実権を委ねたことで藩政の専横を招き、島原藩政は混乱しました。享保15年（1730年）には百姓の逃散、享保18年（1733年）には虫害、享保19年（1734年）には養子の早世、享保20年（1735年）には疫病の流行など、不幸が続きました。

後継者がいなかったため、忠救の実弟である忠俔を新たに養子に迎え、享保20年12月2日に隠居して家督を譲りました。享保21年（1736年）に64歳で死去しました。

墓地からの埋葬物出土

2008年8月の集中豪雨により深溝松平家の墓所に被害が発生し、忠雄の墓所も倒壊の危険に晒されました。墓所の修復に伴い2009年4月に行われた学術調査の際、慶長小判など43枚、一分判120枚、ヨーロッパ製とみられる銀製ポット・グラス、眼鏡、蒔絵が施された印籠、喫煙具などの副葬品が出土しました。幸田町教育委員会はこれらの出土物を「過去に調査された各地の大名墓の副葬品と比べ、質・量ともに類を見ない、極めて重要な発見」と評価しています。

系譜

実父: 松平伊行
実母: 石丸定次の娘
養父: 松平忠房
正室: 戸田忠昌の養女（戸田忠章の娘）
側室: 真正院（春、平井家娘）

子女
松平忠英（三男）
土岐頼稔正室

養子、養女
松平忠救（松平次章の子）
松平忠俔（松平次章の四男）
堀直恒室（稲垣重武の娘）

もう一度検索