桜井線

桜井線（万葉まほろば線）：奈良の風情と歴史を巡るローカル線

桜井線は、奈良県を南北に縦断するJR西日本のローカル線です。奈良駅から大和高田駅までを結び、愛称である『万葉まほろば線』の名称で親しまれています。正式名称の『桜井線』は旅客案内では使用されていません。

概 要

全線奈良県内にあり、奈良駅で関西本線、高田駅で和歌山線と接続します。かつては大阪方面からの重要な交通路でしたが、近鉄の路線網の発達により利用客は近鉄へ流れてしまい、現在ではローカル線としての性格が強くなっています。特に、近鉄大阪線とほぼ並行する桜井駅～高田駅間は利用者が少ないのが現状です。

2023年6月の王寺鉄道部の廃止に伴い、奈良駅を除く全線が奈良駅の管轄となりました。全線が大阪近郊区間およびICOCAエリアに含まれています。路線記号はUです。

愛称の由来

2010年、平城遷都1300年祭や奈良デスティネーションキャンペーン開催を機に、親しみやすい愛称を公募。沿線に万葉集ゆかりの場所が多く点在すること、そして『まほろば』が奈良を象徴する言葉として定着していることから、「万葉まほろば線」に決定しました。愛称は2010年3月13日のダイヤ改正から使用されています。なお、富山県の万葉線とは無関係です。

路線データ

管轄：西日本旅客鉄道
路線距離：29.4km
軌間：1067mm
駅数：14（奈良駅・高田駅を含む。桜井線所属駅のみなら12駅）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：全線電化（直流1500V）
閉塞方式：自動閉塞式（特殊）
運転指令所：大阪総合指令所
最高速度：85km/h
ICOCAエリア：全線

沿線概況

万葉集ゆかりの史跡や名所が点在し、三輪山や大和三山を望むことができます。奈良駅～桜井駅間は、歴史の道「山の辺の道」に沿って走っています。

奈良駅を出発し、京終駅、帯解駅、櫟本駅と続きます。天理駅は近鉄天理線との接続駅で、天理教の施設が多くあります。天理駅を出ると、長柄駅、柳本駅、巻向駅（纒向遺跡の最寄り駅）と進み、三輪駅（大神神社の参道が駅前まで伸びている）に着きます。

大和川を渡り、桜井駅へ。桜井駅は近鉄大阪線との接続駅で、かつては共同使用駅でしたが、1995年に改札が分離されました。桜井駅より先は近鉄大阪線と並走し、香久山駅、畝傍駅（橿原神宮・神武天皇陵の最寄り駅）、金橋駅と続きます。そして、高田駅に到着します。朝夕は多くの列車が和歌山線王寺方面に直通運転しています。

運行形態

日中の運転本数は、平日が奈良～高田間で1時間に1本、土休日は奈良～桜井間で1時間に2本、桜井～高田間で1時間に1本です。奈良～桜井間の区間運転のほか、奈良～高田間の運転があります。朝夕は高田駅から和歌山線王寺方面への直通運転もあります。朝ラッシュ時には、奈良駅から桜井線経由でJR難波駅へ直通する快速が運行されています。基本的にはワンマン運転ですが、ラッシュ時やイベント開催時には車掌が乗務します。2020年以降、新型コロナウイルス感染症対策として、無人駅ではドアの開閉方式が変更されました。

臨時列車

天理教の祭礼時には、天王寺方面からの臨時列車が運行されます。また、「天理臨」と呼ばれる団体列車が各地から運転されることもあります。沿線のイベントや遺跡の発掘時には、臨時列車が運転されることもあります。過去には、黒塚古墳や纒向遺跡の発掘を機に臨時列車が運転され、多くの観光客が訪れました。

奈良万葉レジャー号

2010年秋まで、春・秋の行楽シーズンに大阪駅またはJR難波駅から高田駅まで「奈良万葉レジャー号」が運転されていました。

年末年始の運行形態

大晦日から元旦にかけて、奈良～桜井間で終夜運転が行われます。多客対応のため、全列車に車掌が乗務します。

使用車両

現在は227系1000番台が主力ですが、221系、201系、205系なども使用されています。過去の車両としては、105系、113系、103系などがあります。

歴史

奈良～桜井間は奈良鉄道、桜井～高田間は大阪鉄道によって開業し、関西鉄道を経て国有化、JR西日本へと引き継がれました。開業以来、路線の延伸や電化、車両の更新など、様々な変化を経てきました。

駅一覧

全駅奈良県内にあります。有人駅は奈良駅、天理駅、桜井駅、高田駅の4駅です。無人駅にはICカード専用の簡易型自動改札機と自動券売機が設置されています。

まとめ

桜井線は、歴史と自然に恵まれたローカル線です。万葉集ゆかりの史跡を訪れたり、のどかな田園風景を眺めたりと、様々な楽しみ方ができます。

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