残酷ゲーム

残酷ゲームについて

残酷ゲームとは、流血や殺人といった過激な描写が含まれるコンピュータゲームのことを指します。このようなゲームは、暴力ゲームや残虐ゲームと呼ばれることもあります。東京都の青少年健全育成条例では、残虐な行為を擬似的に体験させるプログラムが該当するとされ、他の自治体でも同様の定義が存在します。

残酷ゲームは、内容により強い不快感を与えることがあります。その特徴は、リアルな映像効果に加え、流血や負傷、さらには死体損壊といった倫理的に問題のあるグロテスクな描写です。このジャンルのゲームは、ホラー映画やスプラッタといった残酷な描写を前面に出すことで一定のファンを獲得しています。例えば、ポスタルシリーズのように、意図的に残虐行為を描写する一方で、その背後にある心理を体験できる『DayZ』のようなタイトルも存在します。

類似するジャンル

残酷描写を回避する古典的なホラーゲームとは対照的に、ユーザーに強い緊張感を持たせるホラーゲームもあります。これらは、直接的な残酷描写を避けつつ、叫び声や赤い液体が滴る情景を描写し、恐怖心を煽る手法を取ります。それにもかかわらず、残酷ゲームとの境界が曖昧な作品もあり、ユーザーによってその受け取られ方は異なります。

レーティング制度

暴力的な内容を売りにするゲームは一定の市場を有していますが、特に児童や未成年者にはそのような内容が不適切であると考える保護者もおり、レーティング制度が重要な役割を果たしています。日本では、1980年代以来、任天堂が自社ゲーム機で発売されるソフトの内容を厳格にチェックしてきましたが、ゲームセンターでは残虐表現を含むタイトルも存在しました。特に日本では、家庭用ゲームよりも厳しい基準が設けられていますが、その一方で海外では多くの過激なゲームが流通していました。

例えば、任天堂に代わってソニーがゲーム市場のトップとなった際には、『バイオハザード』のように暴力シーンへの警告が明記されたゲームが登場しました。この後、任天堂も同様な形で、暴力表現のあるゲームを少しずつ受け入れるようになったのです。コンピュータエンターテインメントレーティング機構（CERO）は、特に残酷な内容について『Z（18歳以上のみ対象）』のレーティングを強調し、その年齢層に不適切なゲームが流通しないよう努めています。

非商用ゲームとその問題

残酷ゲームは商業目的のものだけでなく、非商用のフリーウェアやシェアウェアの形で配布されるアマチュア作品の中にも存在します。これらのゲームは、大量殺人や猟奇犯罪を扱う内容が多く、被害者や遺族にとっては神経を逆なでするものとなります。そのため、「不謹慎ゲーム」として問題視されることがあります。

ゲームと現実の事件

残酷ゲームに関連して現実の事件が問題視された事例として、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件が挙げられます。この事件は、犯人の少年たちがゲーム『ポスタル』との類似性を指摘され、価値観が歪められたとされました。

規制と倫理

残酷ゲームは、その特性上多くの消費者に不快感を与える可能性があるため、多くの国で自主規制が行われています。しかし日本においては、業界団体が自主規制を行いつつも、児童への販売に厳しい規制を設けています。一方、アメリカでは、州法で児童への販売規制が進められましたが、この動きは表現の自由に対する反発も呼んでいます。

上述のように、残酷ゲームは社会において多様な影響を及ぼし、賛否がある中で存在し続けているのが現状です。

もう一度検索