泉橋酒造

泉橋酒造株式会社は、神奈川県海老名市に位置する、1857年（安政4年）創業の歴史ある酒造会社です。「いづみ橋」という銘柄の日本酒を中心に、リキュール、味噌、醤油、甘酒、粕取り焼酎と、幅広い製品を製造・販売しています。また、酒米や酒器の販売も手がけており、酒造りに関する様々な側面から事業を展開しています。

概要



泉橋酒造の最大の特徴は、「酒造りは米作りから」という信念に基づいた、酒米の栽培から精米、醸造までを一貫して行う「栽培醸造蔵®」であることです。自社に隣接する海老名市内、そして相模川流域の座間市や相模原市に広がる水田で酒米を栽培しています。栽培は自社社員だけでなく、「さがみ酒米研究会」という契約農家との連携によって行われています。自社社員による栽培面積は約8ヘクタール、研究会による栽培面積は約38ヘクタールに及びます。

主な栽培品種は、神奈川県が認定する「山田錦」と「楽風舞」、その他3品種です。使用する原料米の約9割は地元産の米を使用しています。日本酒造りにおいては、手造りを基本とし、米と米麹のみを原料とする純米酒（純米大吟醸、純米吟醸を含む）に特化しています。また、製造する日本酒の半分は、伝統的な生酛造りによるものです。

近年では、日本の伝統的な発酵食品である米麹味噌や醤油の製造、そして地元産の梅やイチゴを使用した純米酒仕込みのリキュールも手掛けています。蔵のシンボルマークには、減農薬栽培の象徴である赤とんぼを使用しており、秋には自社の田圃周辺を飛び交う姿が見られます。

2016年からは、「田んぼからテーブルまで」をコンセプトに、海老名駅西口に直営レストラン「蔵元佳肴 いづみ橋」を展開しています。2020年からは、麹を使った甘酒「糀だるま」や、粕取り焼酎「あまくことなく」の製造も開始しました。また、「栽培醸造蔵」は泉橋酒造の登録商標（登録番号5931100）となっています。

銘柄の由来



「いづみ橋」という銘柄名は、昭和初期の土地改良まで酒造の裏手を流れていた「泉川」と、屋号である「橋場」を組み合わせたものです。この歴史的な背景が、現在の銘柄名に受け継がれています。

沿革



  • - 1857年（安政4年）：初代・橋場友八が「橋場酒造店」を創業。
  • - 1943年（昭和18年）：戦争による企業整備令により休業。
  • - 1956年（昭和31年）：4代目・橋場友八が酒蔵を再開し、「泉橋酒造株式会社」に社名変更。
  • - 1969年（昭和44年）：仕込み蔵を新築。
  • - 1996年（平成8年）：土蔵を「酒蔵SHOP・酒友館」に改装し、酒米栽培を開始。
  • - 1997年（平成9年）：さがみ酒米研究会を発足。
  • - 1999年（平成11年）：5代目・橋場英昭が神奈川県酒造組合長に就任。
  • - 2000年（平成12年）：「ドメーヌ宣言」を行い、酒米栽培から醸造までの一貫生産体制を確立。
  • - 2003年（平成15年）：「とんぼラベル」シリーズを初リリース。
  • - 2005年（平成17年）：梅酒の製造を開始。「夏やご」を初リリース。
  • - 2006年（平成18年）：自社精米を開始し、酒米栽培から精米、醸造までの一貫生産体制を確立。
  • - 2007年（平成19年）：製造する日本酒をすべて純米酒に統一。
  • - 2008年（平成20年）：6代目・橋場友一が代表取締役社長に就任。米麹味噌の製造を開始。
  • - 2009年（平成21年）：酒米栽培を開始。
  • - 2010年（平成22年）：神奈川県より優良工場表彰を受ける。
  • - 2013年（平成25年）：南部杜氏の退社に伴い、社員での酒造り体制へ移行。
  • - 2014年（平成26年）：醸造用玄米「山田錦」が神奈川県の産地品種銘柄に登録。会長・橋場英昭が藍綬褒章を受章。
  • - 2015年（平成27年）：経済産業省より「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定。
  • - 2016年（平成28年）：直営レストラン「蔵元佳肴いづみ橋」を開店。
  • - 2017年（平成29年）：農地保有適格法人となる。
  • - 2018年（平成30年）：醸造用玄米「楽風舞」が神奈川県の産地品種銘柄に登録。
  • - 2020年（令和2年）：麹甘酒と粕取り焼酎の製造を開始。
  • - 2022年（令和4年）：醸造用玄米「雄町」が神奈川県の産地品種銘柄に登録。

商品



泉橋酒造では、様々な種類の日本酒、リキュール、味噌、醤油、甘酒、焼酎を製造しています。

日本酒


  • - いづみ橋（純米大吟醸、純米吟醸、純米酒など）
  • - とんぼシリーズ（とんぼラベル、夏やご、秋とんぼ、とんぼの越冬卵と雪だるまラベルなど）
  • - 生酛シリーズ（黒とんぼ）
  • - とんぼスパークリング（活性にごり酒・火入れ済）

リキュール



米麹みそ＆丸大豆しょうゆ


  • - 「酒蔵仕込みの無添加 吟醸みそ」：酒米と神奈川県産大豆を使用。
  • - 丸大豆しょうゆ：津久井在来大豆と地元産小麦を使用。（製造は梶田商店に委託）

甘酒（ノンアルコール）


  • - 「糀だるま」：神奈川県産山田錦100%を使用した甘酒。

単式蒸留焼酎


  • - 「あますことなく」：真空減圧蒸留方式による粕取り焼酎。

直営レストラン



2016年7月より、JR海老名駅西口に直営レストラン「サケとアテ 蔵元佳肴 いづみ橋」を運営しています。ここでは、神奈川県産の食材を使った料理と自社の日本酒を提供し、日本酒と料理のペアリングに力を入れています。

さがみ酒米研究会



泉橋酒造と連携する酒米農家の研究・栽培会です。山田錦、楽風舞、神力、こしひかりなどを栽培しています。発足当初から窒素成分を抑えた栽培方法を採用し、減化学肥料、減農薬栽培、冬期湛水などの研究に取り組んでいます。


外部リンク



  • - 泉橋酒造公式ホームページ
  • - 泉橋酒造フェイスブック
  • - 泉橋酒造公式ユーチューブチャンネル
  • - 公式インスタグラム

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