浜益郡

浜益郡の歴史：北海道石狩支庁の消滅した郡

はじめに

浜益郡は、北海道石狩支庁管内に存在した郡です。本稿では、江戸時代からの歴史、郡発足、町村合併、そして平成17年（2005年）の石狩市への編入による消滅までの経緯を詳細に解説します。地理的条件や交通路の開削といった地域事情も踏まえながら、浜益郡の歴史を多角的に考察します。

江戸時代以前

浜益の名称は、古くは「はまましけ」と呼ばれていました。江戸時代、この地域は西蝦夷地に属し、当初は松前藩によって開かれたマシケ場所に含まれていましたが、後にハママシケ場所として独立しました。陸上交通は、渡島国から天塩国増毛郡に至る重要なルート上に位置しており、複数の山道が整備されました。中でも、岩内在住の柳川善蔵が開いたとされる送毛山道（約5.9km）や、浜益と増毛の両場所請負人である伊達林右衛門が開削した増毛山道（約35.3km）は、地域の交通に大きく貢献しました。さらに、千代志別と天塩国増毛郡雄冬を結ぶ雄冬山道も存在しました。国防上の理由から、文化4年には一時天領となりましたが、文政4年には松前藩領に戻り、その後、天保年間には浜益神社の前身である稲荷神社が創建されました。安政年間には庄内藩が陣屋を築城し、警固にあたりました。戊辰戦争終結後の1869年、大宝律令の国郡里制を踏襲して、浜益郡が正式に設置されました。

明治時代

明治2年（1869年）、北海道で国郡里制が施行され、石狩国と浜益郡が設置されました。当初は開拓使の管轄下にありましたが、廃藩置県を経て再び開拓使の管轄となりました。明治5年には戸長・副戸長が設置され、大区小区制が施行されました。明治9年には全道30の大区と166の小区に再編されました。明治12年（1879年）、郡区町村編制法の施行により、行政区画としての浜益郡が発足しました。その後、石狩郡外七郡役所、石狩郡外二郡役所、札幌県、北海道庁札幌本庁などの管轄下に置かれ、行政区分は度々変更されました。明治15年には清水村が柏木村に、雄冬村が群別村に編入されています。明治30年（1897年）、郡役所が廃止され、札幌支庁の管轄となりました。明治35年（1902年）、北海道二級町村制の施行により、浜益村と黄金村が成立しました。

明治時代以降

明治40年（1907年）、浜益村と黄金村が合併して、浜益村（一級村）が発足しました。大正11年（1922年）、札幌支庁は石狩支庁に改称されました。昭和18年（1943年）、北海道一・二級町村制が廃止され、町村制が施行されました。昭和22年（1947年）、地方自治法の施行により、北海道石狩支庁の管轄となりました。そして、平成17年（2005年）10月1日、浜益村は石狩市に編入され、長い歴史を持つ浜益郡は消滅しました。

まとめ

浜益郡の歴史は、江戸時代の交通路の開削から始まり、明治時代の行政区分変遷、そして昭和、平成時代における町村合併を経て、最終的に石狩市の一部としてその歴史に幕を閉じました。この地域の歴史を理解するためには、地理的条件、交通、行政制度といった多様な要素を考慮する必要があります。本稿が、浜益郡の歴史を理解するための手がかりとなることを願っています。

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