玉若酢命神社

玉若酢命神社の概要

玉若酢命神社（たまわかすみことじんじゃ）は、島根県隠岐郡隠岐の島町下西に位置する風光明媚な神社であり、古くは「若酢大明神」や「総社明神」とも称されていました。この神社は式内社であり、旧社格は県社にあたります。

祭神

当社の主祭神は玉若酢命であり、これに大己貴命、須佐之男命、稲田姫命、事代主命、須世理姫命が配祀されています。社伝によると、玉若酢命は隠岐国の開拓に貢献した神であるとされています。伝説では、景行天皇によって隠岐に送られた大酢別命の子として玉若酢命が誕生したとされ、当社の初代宮司を務めた億岐家は彼の末裔と考えられています。ただし、景行天皇の皇子の名前には玉若酢命は確認されていません。

歴史

神社の創建年代は不詳ですが、『隠州視聴合紀』において1617年に関する記述があり、その際に国造と呼ばれた社司の存在が記されています。また、貞観13年の記録には、神階の昇叙に関する情報があり、これが当社に結びつく可能性が指摘されています。

965年には、延喜式神名帳に名が見られ、また隠岐国の中心地である甲野原に鎮座していたことが、重要な歴史的背景を提供しています。長い間、神社は隠岐国の総社として多くの信仰を集めていました。

中世以降、神社の地位はさらに強化され、国鎮守としての役割も持つようになりました。応安7年（1374年）からは、神社の造営が守護や守護代のもとで行われ、戦国時代までこの体制が続いたことが確認されています。また、明治時代に近代社格制度が導入され、1872年には県社に昇格しました。平成には本殿や随神門などが国の重要文化財に指定され、地域文化の象徴となっています。

施設と遺構

玉若酢命神社の主要な建造物である本殿・随神門・社家億岐家住宅は重要文化財に指定されており、旧拝殿も附（つけたり）指定されています。これらの建物は、江戸時代に造営されたものであり、非常に美しい造りを誇っています。

さらに、神社近くには玉若酢命神社古墳群が存在し、地域の歴史や文化に関心を寄せる訪問者にとって重要な観光地となっています。特に、神社の八百スギは国の天然記念物に指定されており、訪れる人々に感動を与えています。

祭事

毎年6月5日には御霊会（ごれい）と呼ばれる祭りが行われ、多彩な行事が催されます。この祭りでは地域の各所から馬が集まり、流鏑馬や神事が行われ、地域の絆が深まる機会ともなっています。御霊会は、伝統を重んじる地域住民によって守り継がれており、国指定の無形民俗文化財としても認められています。

玉若酢命神社は、隠岐の地に根付いた深い歴史を持ち、その神聖な雰囲気とともに多くの信仰を受け続けています。訪れることで、地域の文化や歴史を肌で感じることができる貴重な場所です。

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