王甫

王甫の生涯と功績

王甫（おう ほ、? - 222年）は、中国後漢末期から三国時代にかけて活躍した著名な政治家である。彼の字は国山であり、益州の広漢郡郪県に生まれた。また、彼の子は王祐であり、従兄弟には王商および王士がいる。

政治家としての活動

歴史家陳寿が執筆した『三国志』の楊戯伝に記載されている通り、王甫は凛々しい風貌で知られ、政治的な才能に恵まれた人物だった。キャリアの初めには劉璋に仕官し、益州の書佐として事務方を担当した。後に劉備が益州を奪取した際には、王甫は綿竹県の県令を歴任し、次いで荊州の議曹従事に異動となった。

章武2年（222年）、王甫は劉備の指揮下で吴への出兵に参加したが、南郡秭帰県での戦いにおいて敗北し、戦死することとなった（夷陵の戦い）。彼の死後も、楊戯は王甫を「立派な風格を持ち、蜀漢の名誉となる人物」と称賛している。

また、華陽国志および先賢志では、広漢郡出身の優れた人材として王甫が言及されており、従兄の王士や李氏の三龍と並べて評価されている。このように、王甫の名声は生前から高く評価されていた。

家族と子孫

王甫の子である王祐は父の足跡を追い、尚書右選郎にまで昇進した。王甫はその政治的才能を受け継いでもいると考えられ、その影響は王甫の世代を超えて続いた。

三国志演義における王甫

小説『三国志演義』において、王甫は随軍司馬として描かれ、関羽の補佐役として重要な役割を果たす。彼は荊州を狙う孫権軍に対抗するため、関羽に对し有力な兵士である趙累の起用を進言する。しかし、関羽はその意見を軽視し、王甫の助言を受け入れなかった。代わりに、関羽は有事の際に備えて烽火台を建設するよう王甫に命じている。

その後、呂蒙の軍により烽火台は制圧され、荊州は陥落する。この時、関羽は王甫の言葉に耳を傾けなかったことを悔やむこととなる。王甫は再び関羽に対し、麦城から逃れる際に間道を避けて街道を進むべきだと諌めるが、関羽はこれにも耳を貸さなかった。王甫は仕方なく周倉と共に麦城を守ることになった。

結局、王甫が懸念していた伏兵に関羽が捕まり、殺されてしまう。この結果を受けて、王甫は関羽・関平父子の首級を見て絶望し、櫓から身を投げ自ら命を絶つこととなった。周倉もまた自刎してその生涯を終える。

王甫の生涯は、彼の政治的な手腕だけでなく、その忠義と勇気によっても語り継がれている。

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