甘利山

甘利山（あまりやま）

甘利山は、山梨県韮崎市と南アルプス市の境界に位置する標高約1,731mの山です。南アルプスの支稜である鳳凰山の東側山腹に位置しています。

概要

甘利山は、韮崎市西部にそびえ立つ鳳凰山の東側斜面にある小さなピークです。尾根上の小さなコブであるため、麓の甲府盆地から見ると山というよりは山腹の一部のように見えます。しかし、甘利山は山梨百名山に選定されており、その名が広く知られています。これは、例年6月に咲く大規模なレンゲツツジの群生地があるためです。

山頂付近まで山梨県道613号甘利山公園線が通じているため、アクセスが比較的容易で、シーズン中は多くのハイカーで賑わいます。近世には入会地として利用され、山論も発生しました。

甘利山にはかつてスキー場がありました。当時、韮崎町に住んでいた山寺巌と、甘利山の入り口に住んでいた小林三郎が、甘利山中腹を利用してスキーができるように下草を刈り、スキー場として開拓しました。昭和30年代には、山寺巌が韮崎高等学校の選手や、韮崎市出身の有機化学者である大村智などにスキーを教え、現地でスキー大会や講習会を開催するまでになりました。現在、スキー場は跡地として残っており、その場所には山寺巌の石碑がスキーブーツと共に建てられています。

椹池（さわらいけ）

甘利山へ向かう県道沿い、標高約1,230m付近の山腹には、山梨県では数少ない高層湿原である椹池があります。『甲斐国志』には、この池を舞台とする大蛇にまつわる伝説や、雨乞いに関連した民俗が記されており、近代以降には民俗学者の柳田國男によって『山島民譚集』に引用されました。

また、南アルプス市野牛島の能蔵池には、椀貸し伝説が伝わっています。椀貸し伝説とは、特定の場所において借り主が膳椀の借用を願うと、翌日には貸し主が所望した数の椀を用意していたが、不心得者が椀を返さなかったために、椀貸しが中断されたという内容のものです。山梨県では釜無川流域に多く分布しています。能蔵池の椀貸し伝説では、池の主である赤牛が貸し主でしたが、不心得者が椀を返さなかったため池を去り、甘利山の椹池に移ったとされています。

登山ルート

県道の終点にある県営無料駐車場から、レンゲツツジ群生地を経由して山頂まで約15分で到着します。

参考文献

アタック山梨百名山「新版」『山梨日日新聞社』刊 ISBN 978-4-89710-854-4
韮崎市体育協会のあゆみ
村上直「近世における入会山論の背景-山梨県甘利山を中心として-」『甲斐史学』第1巻、1982年
村上直「甘利山山論数え歌」『日本歴史』第119号、1991年

関連項目

甘利荘
甘利氏

外部リンク

* 甘利山倶楽部

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