申儀

申儀の生涯

申儀（しんぎ、生没年不詳）は、中国の後漢末期から三国時代にかけて活動した軍人です。彼の人生は激動の時代を背景に展開され、さまざまな権力闘争や対立に巻き込まれました。特に彼に関する記録は、著名な歴史書『三国志』や小説『三国志演義』に見ることができます。

初期の経歴

建安24年（219年）、申儀の兄である申耽は、曹操の配下として上庸の太守に任命されていました。しかし、この時期、劉備配下の劉封や孟達が進軍してくると、申耽は降伏を余儀なくされます。この降伏の際、申儀は建信将軍に任命され、西城の太守となりました。

黄初元年（220年）、申儀は劉封に逆らい、魏に降伏することで兄の地位を引き継ぎました。その後、申耽も魏に降伏し、懐集将軍として南陽に移住します。申儀は、魏興の太守及び員郷侯となり、洵口の地に拠点を置きました。

対孟達との不和

申儀は、魏に降伏した孟達と衝突し、しばしば上言を通じて彼が蜀と通じていると報告しました。これにより、彼は孟達を警戒し続けました。太和元年（227年）、孟達が蜀に同調した際、申儀はとうとう彼との接触を断つために、救援を防ぎました。これらの出来事は、彼の戦略的思考を示すものであり、申儀は魏の中での彼自身の地位を確立するために、一貫した行動を取り続けました。

権力闘争と転機

歴史書『三国志』の劉封伝に注釈を加えた『魏略』によると、孟達討伐後、申儀は司馬懿の助言により上洛し、楼船将軍に任命されました。これにより彼は、他の諸侯と同等の礼遇を受けるようになりました。しかし、『晋書』の宣帝紀に記されているように、申儀は長い間魏興という辺境の地で権威を誇示し、時には任意の命令を下していました。この状況を認識した司馬懿は、孟達討伐の名目で申儀を招集し、彼を逮捕して都へと送還しました。

三国志演義に見る申儀

小説『三国志演義』では、申儀は第79回において房陵都尉として描かれています。彼は、関羽を救援しなかったことによって劉備からの恨みを気にする孟達の意見を聞き入れ、兄の申耽が魏に降伏することを勧めました。申儀は、その後に孟達と共に行動し、劉封の攻撃を退けます。

第94回では、彼が魏の金城太守として再登場し、孟達の反乱に関与する素振りを見せます。しかし、実際には彼は孟達を攻撃するための策略を持っており、最後には兄と共に孟達を討伐すると、これが戦果として彼らの昇進につながりました。

結論

申儀は、混乱の時代において自己の地位を確保するために巧妙な策略を巡らせた軍人でした。彼の生涯は、複雑な人間関係や戦略的選択によって彩られており、その姿は『三国志』や『三国志演義』を通じて、今なお多くの人々に影響を与えています。

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