竹中土木

株式会社竹中土木

株式会社竹中土木（たけなかどぼく）は、日本の主要な総合建設会社（ゼネコン）の一つであり、東京都江東区に本社を構えています。建築分野で広く知られる株式会社竹中工務店のグループ企業でありながら、同社がビルやスタジアムといった建築物に特化しているのに対し、竹中土木はダム、トンネル、橋梁、鉄道、空港など、インフラ整備に関わる土木工事を専業としています。

沿革

会社の起源は1937年に遡ります。海外での建設事業を目的として、竹中工務店などが中心となり匿名組合「共栄会」が結成されました。1941年にはこれを改組し、海外土木興業株式会社として法人化。主に中国や東南アジア、中南米で活動を展開しました。第二次世界大戦後、1946年に竹中工務店が全株式を取得し、朝日土木興業株式会社へ社名を変更。その後1948年に朝日土木株式会社となり、1967年に現在の商号である竹中土木株式会社となりました。そして1973年に改めて株式会社竹中土木として組織を整備しています。

戦後の高度成長期以降、同社は日本の基盤整備において重要な役割を担ってきました。1960年には東海道新幹線の有楽町高架や、日本で初めて矩形シールド工法を用いた名古屋市栄町共同溝工事を手掛けています。また、1972年には道路事業を手掛ける興国道路株式会社（現：株式会社竹中道路）の株式を取得し、事業領域を拡大。1973年には下地島空港の建設にも携わりました。

技術開発にも積極的に取り組んでおり、1979年にはDCM工法が毎日工業技術賞を受賞。その後もダムコンクリート圧送工法（PCD工法、1981年）、連続シート止水壁工法や特殊水中コンクリート（シーベター、1983年）など、独自の工法や材料を開発しています。1984年には竹中式スラッヂ処理システム（TST）が業界初の環境庁長官賞を受賞するなど、環境技術分野でも先駆的な取り組みを行っています。

近年の実績としては、2006年に東北新幹線八甲田トンネル工事や箕面有料道路箕面トンネル工事などが土木学会技術賞を受賞。灰塚ダム建設事業もダム工学会技術賞を受賞しています。2008年には新東名高速道路金谷トンネル工事や忠別ダム工事で再び土木学会技術賞を受賞するなど、技術力が国内外で高く評価されています。また、液状化対策技術「スマートコラム工法」（2013年実証）や「住みながら宅地境界を地盤改良壁で囲む工法」（2020年国土開発技術賞最優秀賞受賞）、汚染地盤の加温式浄化技術（2021年環境大臣賞受賞）など、社会課題の解決に貢献する技術開発も進めています。

事業内容・強み

竹中土木は、ダム、トンネル、橋梁といった大型構造物から、鉄道、道路、空港、港湾に至るまで、社会生活に不可欠なインフラの企画、設計、施工、維持管理までを総合的に手掛けています。特に、難易度の高い工事や、独自の技術・工法が求められるプロジェクトに強みを発揮しています。

国内外で数多くの実績があり、国内では当別ダム、浦山ダム、首都圏外郭放水路などの著名なダム・放水路、東北新幹線や九州新幹線のトンネル、東京メトロや都営地下鉄などの都市鉄道、東京湾アクアライン浮島トンネルや新東名高速道路などの高速道路、関西国際空港などの空港建設に携わっています。近年では、東日本大震災や熊本地震といった大規模災害からの復旧・復興事業、特に液状化対策や除染作業などにも積極的に貢献しています。海外でも、インドネシア、ケニア、中国、シンガポールなどで建設プロジェクトを実施した経験があります。

経営理念・コーポレートメッセージ

「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を経営理念として掲げ、品質と安全性を最優先に、社会基盤の整備を通じて豊かな社会づくりに貢献することを目指しています。また、「人と地球の架け橋に」をコーポレートメッセージとし、環境との調和を図りながら、人々の暮らしと地球環境をつなぐ持続可能な社会の実現を目指す企業姿勢を示しています。

事業所

東京都江東区に本社・東京本店を置くほか、大阪、北海道、東北（仙台）、関東（さいたま）、横浜、名古屋、広島、四国（高松）、九州（福岡）に支店を展開し、全国規模で事業を推進しています。また、千葉県印西市に技術研究所を設置し、土木技術の研究開発・実証に力を入れています。

グループ企業

株式会社竹中工務店を親会社とする竹中工店グループの一員です。道路舗装などを手掛ける株式会社竹中道路もグループ企業として連携しています。

社会インフラの構築・維持を通じて、国土の強靭化や人々の安全・安心な暮らしを支える重要な役割を担っている企業です。

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