粟田女王

粟田女王について



粟田女王（あわたじょおう）は、奈良時代に活躍した皇族であり、女官、そして歌人としての顔を持つ人物です。彼女の生年については正確な記録が残っていませんが、764年6月7日に亡くなったことが分かっています。また、位階は正三位に達しており、その地位は高貴です。

経歴



粟田女王の出自については不明な点が多く、彼女の初叙が従四位下であることから、天皇の血を引く二世王（皇孫）であるという推察がなされています。彼女の出発点は元正朝の養老7年、つまり723年の正月に初めて称号を得たのです。その後、聖武朝の天平11年（739年）には従四位上に昇進しました。これらの昇叙は、元正天皇や聖武天皇から直接的な恩賜を受けたことを示唆しています。

天平16年（744年）には、左大臣橘諸兄の邸宅での宴において、河内女王などと共に出席し、ここで詠まれた詩が後に歴史的に評価されました。また、天平20年（748年）3月には正四位上に昇叙し、その後も従三位へと昇進します。

さらに、ごく最近の天平宝字5年（761年）6月には、光明皇太后の周忌斎会に参加し、小長谷女王と共に位階を一階進められます。天平宝字8年（764年）の5月4日、彼女はこの世を去りました。その死の年においても特筆すべき点があり、実際には保良宮の遷都に伴い、大変重要な役割を果たしていました。

歌人としての活動



粟田女王はその歌人としての業績でも知られており、特に『万葉集』に収められている彼女の詩は有名です。これによって、彼女の文学的な才能は高く評価されています。彼女の詩「月待ちて 家にはゆかむ 我が挿せる 赤ら橘 影に見えつつ」は、彼女の詩的感性を端的に示しており、多くの人々に愛されています。

この歌の情景描写には、月への思いを馳せ、心の内に抱く想いが表現されています。柔らかな橘の影が漂う中での心情が、聴く者の感情に触れるものとなっています。歌の中での自然の描写は、彼女自身の内面的な葛藤や思いを反映したものであると思われます。

官歴



彼女の官歴は『続日本紀』に詳細が記録されています。具体的には、以下の通りです。


このように、粟田女王の生涯は多彩であり、彼女の存在は奈良時代の皇族や文化に重要な影響を与えました。彼女の詩や業績は、現在でも人々に感動を与えるものとして記憶されています。

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