組文字

組文字とは

組文字とは、1行の文字列の中に複数行の文字を組み合わせて記述する組版技術です。通常、全角1文字分のスペースに複数の文字を収めるために使われます。例えば、「㍍」や「㍿」などが組文字の例として挙げられます。

組文字が使われる場面

組文字は、以下のような場面でよく利用されます。

スペースが限られている場所での情報表示: 多数の情報を限られたスペースに表示する必要がある場合に、重要度の低い語句をまとめて表示します（例: 株式会社）。
複雑な漢字や表外字の表現: 漢字が複雑で読みにくい場合や、表外字を使用する場合に、組文字で表示することで可読性を向上させます（例: うら）。
単位の表現: 縦書き時に単位をカタカナで表記する際に使用します（例: ドル、リットル）。
番組表やテロップ: 新聞や雑誌の番組表、テレビ番組のテロップなどで、情報をコンパクトに表示するのに役立ちます。
道路情報掲示板: 表示スペースの制約から、一部の文字が組文字として表示されることがあります（例: 渋滞情報の「から」「まで」）。

組文字と似た組版処理には、縦中横や割注があります。

組文字の配置規則

組文字の基本的な配置規則は以下の通りです。文字数に応じて、見やすく配置されます。

2文字の場合

2文字の場合、一般的には斜めに配置されます。

3文字の場合

3文字の場合は、1行目に2文字、2行目に1文字を配置するのが一般的です。ただし、3文字目が小書き文字や長音符の場合は、1行目に1文字、2行目に2文字を配置します。

4文字の場合

4文字の場合は、1行目に2文字、2行目に2文字を正方形に配置することが多いです。

5文字の場合

5文字の場合は、4文字目が小書き文字や長音符の場合や、2文字目の後ろで意味が区切られる場合は（例: 「キログラム」を「キロ」と「グラム」に分ける場合）、1行目に2文字、2行目に3文字を配置します。それ以外の場合は、1行目に3文字、2行目に2文字を長方形に配置します。

6文字の場合

6文字の場合は、1行目に3文字、2行目に3文字を長方形に配置することが多いです。

7文字以上の場合

7文字以上の場合は、5文字、6文字の配置ルールを基本として、組文字が構成されます。ただし、「オングストローム」のように「オング」と「ストローム」に分かれるような特殊な例もあります。

日本語ワードプロセッサでの組文字の扱い

多くのワードプロセッサには、複数の文字を選択して組文字にする機能が搭載されています。これにより、ユーザーは簡単に組文字を作成できます。

文字コードにおける組文字

組文字は、1つの外字として登録して使用されることもあります。JIS X 0213、Microsoftコードページ932、Unicode、MacJapaneseなどの文字コードには、あらかじめ複数の組文字が定義されています。

各文字コードにおける組文字

MacJapanese: Unicodeにない組文字は、私用領域にアップルが独自に定義した制御文字の後に、組文字を構成する文字を続けることで表現されます。
Unicode: 多くの組文字が定義されています。しかし、一部の組文字はUnicodeに存在しないため、フォントの機能や私用領域を用いて表現されます。

様々な組文字の例

JIS X 0213、Microsoftコードページ932、MacJapanese、Unicode: これらの文字コードには、共通の組文字が定義されています。
MacJapanese、Unicode: 共通の組文字に加え、各コード特有の組文字も存在します。
ARIB外字、Unicode: 放送業界向けのARIB外字にも、組文字が含まれています。
font-feature-settings: Unicodeにはない組文字が、フォントの機能で表示できる場合があります。

一般的に使用される組文字

Unicodeにないものの、一般的に使用される組文字も存在します。これらの組文字は、特定のフォントや環境に依存することがあります。

その他の情報

Mac OS X、Windows 7以降: 最初から表示可能な組文字があります。
Mac OS X 10.9、Windows 8.1以降: より多くの組文字が最初から表示可能です。

まとめ

組文字は、限られたスペースで情報を効果的に伝えるための重要な組版技術です。文字の配置ルールや、各文字コードにおける定義を理解することで、組文字をより効果的に活用できるでしょう。

脚注

組文字に関する脚注は、必要に応じて参照してください。

関連項目

合字
組版
縦中横
割注
恩賜財団済生会: 正式表記では、「恩賜財団」の4文字を組文字としています。

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