肥後田浦駅

肥後田浦駅（ひごたのうらえき）は、熊本県葦北郡芦北町小田浦にある肥薩おれんじ鉄道の駅です。駅番号はOR07です。

歴史

駅名は、開業時の地名である葦北郡田浦村に由来します。「田浦」とは、「広い田圃のある港」を意味し、古くは「田ノ浦」や「田野浦」とも呼ばれていました。開業当時、横須賀線に田浦駅が存在したため、旧国名である「肥後」を冠して「肥後田浦駅」となりました。

年表

1925年（大正14年）4月15日：鉄道省肥薩線（初代）の駅として開業。
1927年（昭和2年）10月17日：鹿児島本線に編入され、同線の駅となる。
1945年（昭和20年）3月29日・7月22日・7月27日：米軍の空襲により駅舎や構内が大きな被害を受ける。
1974年（昭和49年）11月：木造駅舎が解体され、鉄筋コンクリート製の現在の駅舎に改築される。
1984年（昭和59年）2月1日：貨物取扱廃止に伴い、東海カーボン専用線が廃止。業務委託駅となり、八代駅の管理下となる。同時に肥後田浦駅長が廃止される。
1985年（昭和60年）3月14日：業務委託が終了し、無人駅化。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により、JR九州の駅となる。再び有人駅（業務委託駅）化。
2004年（平成16年）3月13日：九州新幹線部分開業に伴う鹿児島本線（八代駅 - 川内駅間）の経営移管により、肥薩おれんじ鉄道の駅となる。
2007年（平成19年）10月1日：土曜日のみ有人駅に変更となる。
2014年（平成26年）4月13日：芦北町商工会田浦支所が駅舎から移転。
2019年（令和元年）10月1日：駅ナンバリング導入に伴い駅名標を更新。英語表記を「Higo Tanoura」から「Higo-Tanoura」に変更。

駅構造

鉄筋コンクリート製の駅舎と相対式ホーム2面2線を有する地上駅です。NPO法人「ななうらステーション」が管理する有人駅（簡易委託駅）ですが、営業は土曜日のみです。かつて貨物を取り扱っていたため、ホーム間の間隔が広く取られています。駅舎内には、改札内外にトイレが設置されています。また、貨物用ホームは現在、保線作業車の留置線として使用されています。

かつては旧田浦町の中心駅として、東海カーボン田ノ浦工場の従業員の利用が多く、駅周辺は大変賑わっていました。しかし、工場の生産ラインの縮小や貨物取扱廃止、モータリゼーションの普及などにより利用者が激減し、1985年に一旦無人駅化されました。その後、町からの陳情により1987年に再び有人駅となりましたが、2005年にたのうら御立岬公園駅が開業してからは利用者が減少し、2007年 10月1日から土曜日のみの営業となりました。現在、出札と駅管理のみを行い、改札や集札は行っていません。

旧駅舎は木造で、駅周辺には菊の鉢植えが飾られ、「菊の駅」として親しまれていました。現在の駅舎は1974年に建てられたもので、出札窓口と待合室を備えています。かつては鉄道小荷物窓口もありましたが、1985年に閉鎖され、現在は旧田浦町の特産品展示スペースとなっています。

国鉄時代には駅長所在駅で、工場専用線を有しており、1984年まで車扱貨物取扱を行っていたため、比較的大きな駅舎が残っています。駅長事務室は、貨物取扱廃止や無人化、肥薩おれんじ鉄道への経営移管に伴い改装され、現在は出札窓口に小規模な事務室がある程度です。改装された元の駅長事務室跡には、芦北町商工会田浦支所が入居していましたが、2015年4月以降は赤帽肥後田浦店が入居し、2020年 5月20日まで営業していました。

営業時間

土曜日：9:30 - 16:50

のりば

かつては中線もありましたが、貨物取扱が廃止されたため撤去されました。

貨物取扱（廃止）

1984年 2月1日まで、駅西側の東海カーボン田ノ浦工場の車扱貨物を取り扱っていました。上下ホーム間には、工場専用貨物列車用の中線があり、工場に向けて専用側線が敷かれていました。駅構内と工場間の入換は日本通運田浦営業所（現・八代支店）が担当し、専用スイッチャーと貨車移動機が使用されていました。工場からは田浦港へも線路が伸びており、貨物船との荷物積替え作業が行われていました。上り線側の安全側線は、工場への引込線や構内側線への貨車入換線として使われていた名残で、他駅よりも長くなっています。駅構内上り方架線柱には、中線が使われていた当時の信号機の設備跡が残っています。専用線廃止後は、1986年までに中線や専用線の線路が全て撤去されました。跡地は2004年にJRからおれんじ鉄道に経営移管された頃に整地され、駅と工場の間に塀や道路が出来たため、現在は中線跡と安全側線以外の痕跡はほとんど残っていません。

備考

東海カーボン田ノ浦工場の前身である東海電極田浦工場と田浦港は、太平洋戦争時代に日本軍の主要な軍需工場や軍事物資の海上輸送拠点でした。そのため、1945年のアメリカ軍の空襲で駅舎や工場が大きな被害を受けました。当時の空襲の様子は映像として現存しており、2013年に一般公開されました。映像では、駅構内の様子や木造平屋建ての駅舎、工場内専用線や側線に留置された貨車、港に係留された輸送船などが確認できます。

利用状況

駅周辺

県道田浦港線が駅前を通り、肥薩おれんじ鉄道線と並行しています。その少し東側を国道3号が並行しています。

東海カーボン田ノ浦工場
田浦港
小田浦簡易郵便局
産交バス「田浦駅前」停留所（国道3号上、当駅から約100m離れている）

隣の駅

肥薩おれんじ鉄道

■肥薩おれんじ鉄道線

たのうら御立岬公園駅（OR06） - 肥後田浦駅（OR07） - 海浦駅（OR08）

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