興居島

興居島について

興居島（ごごしま）は、愛媛県の瀬戸内海西部に位置する忽那諸島の中で二番目に大きな島です。面積は9.27平方キロメートルで、松山市に属し、市内の高浜港から約2キロメートル沖合にあります。この島は定期船によってアクセスできる有人指定離島となっています。

地理と特徴

興居島の北端には琴引鼻があり、釣島海峡を挟んで北側には中島や睦月島があります。また、周囲には他の忽那諸島の島々も点在しています。西側には釣島があり、西南には伊予灘が広がっており、その自然の豊かさがうかがえます。釣島海峡は、東の斎灘と西の伊予灘を結ぶ重要な航路で、過去には何度か海難事故が発生したこともあります。

島の中央部は大きなくびれを持ち、小さな湾を形成しています。東には由良湾があり、西側には鷲ヶ巣海水浴場が広がっています。最も狭い部分は約200メートルで、「船越」と呼ばれる地名が付けられています。北部は丘陵地が広がり、南部には標高282.4メートルの伊予小富士があります。この地形は、北西からの季節風を遮る天然の防波堤としての役割も果たしています。

土地利用と農業

興居島では、環境を活かした農業が盛んです。山頂付近には森林が広がっており、ふもとでは傾斜地を利用してタマネギや果樹の栽培が行われています。特に柑橘類の栽培が有名で、「みかんの島」や「果物の島」として知られています。1835年には由良町で桃の栽培が始まり、1900年には泊町でビワが栽培されるようになりました。その後はリンゴ、ナシ、そしてミカンなどの果樹栽培が多様化し、現在ではウンシュウミカンなど多彩な柑橘が栽培されています。

住民と歴史

興居島には伊予松山藩時代から「門田」「由良」「泊」の三つの地区が存在していました。1954年に松山市に編入された後は「大字興居島」などの地名が使われましたが、1969年以降は門田町、泊町、由良町として現在に至っています。集落は細分化され、九つの集落が形成されています。

興居島の人口は2015年時点で1141人、世帯数は587となっています。歴史を振り返ると、1465年には大内教弘がこの地に布陣し、戦が繰り広げられました。さらに、1944年には太平洋戦争中、由利島沖で潜水艦が沈没した出来事もあり、後に慰霊碑が建立されました。

文化と観光

興居島では、「船踊り」という伝統的な文化があり、これは国選択無形民俗文化財に指定されています。海上の船の上で踊られるこの舞台芸術は、伊予水軍が興居島に凱旋した際に始まったとされ、地域の秋祭りでも披露されます。

観光名所としては、相子ヶ浜や鷲ヶ巣海水浴場があります。磯釣りスポットも豊富で、自然を感じながら過ごすことができる環境が整っています。交通手段としては、高浜港から泊港と由良港へのフェリーが運航されており、所要時間は約10～15分です。

まとめ

このように、興居島は自然と歴史が調和した魅力的な島であり、農業や文化、観光資源が豊富な地域です。訪れる人々は、その美しい景観と温暖な気候、豊かな果物を楽しむことができるでしょう。

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