船戸駅

船戸駅：紀ノ川のほとりに佇む歴史と自然が織りなす駅

和歌山県岩出市船戸にあるJR西日本和歌山線の船戸駅は、明治時代後期からの歴史を刻む駅です。1898年、紀和鉄道の和歌山駅（現在の紀和駅）と船戸仮停車場間の開業に伴い、暫定的な終着駅としてその歴史は幕を開けました。当初は現在の場所よりも西側に位置していましたが、翌年には現在の場所に移転し、船戸駅として正式に開業。その後、紀和鉄道の路線延伸や買収、国有化を経て、1909年には和歌山線の所属となりました。

20世紀半ばには、貨物と荷物の取り扱いを廃止し、1984年には無人駅となりました。しかし、近年では利便性の向上が図られており、2013年には券売機が設置され、2020年にはICカード『ICOCA』が利用可能となりました。現在も駅係員室は残されていますが、無人駅として橋本駅が管理を行っています。

駅舎は相対式2面2線のホームを持ち、列車の行き違いが可能な地上駅です。上りホーム側に駅舎があり、下りホームへは無蓋の跨線橋で連絡しています。かつては有人駅として改札業務が行われていましたが、現在では無人駅となっており、簡易自動券売機が設置されています。

船戸駅は、1900年に発表された鉄道唱歌第5集（関西・参宮・南海篇）にも登場する歴史ある駅です。歌詞に登場する「和歌山」は現在の紀和駅を指しています。この鉄道唱歌にも歌われるように、船戸駅は長い歴史と深いつながりを持ち、地域のシンボルとして親しまれてきました。

駅周辺は紀ノ川が流れ、岩出寄りには道路橋と鉄橋が架かっています。かつては船で紀ノ川の対岸まで渡っていたことから、船をしまっておく小屋が数多くあったことが地名の由来とされています。今もなお、紀ノ川の穏やかな流れと、歴史を感じさせる駅舎が調和した、独特の景観を形成しています。

近年の1日平均乗車人員は公開情報に基づいて確認できますが、ここでは具体的な数値は割愛します。

隣の駅は、上り方面が岩出駅、下り方面が紀伊小倉駅です。快速列車は当駅を通過しますが、普通列車は全列車が停車します。

船戸駅は、歴史と自然が調和した、静かで落ち着いた雰囲気の駅です。訪れる人々に、穏やかな時間を提供してくれるでしょう。紀ノ川のせせらぎと、歴史の息吹を感じながら、のんびりと過ごせる魅力的な場所です。 駅周辺には、地元住民の生活に密着した商店や住宅が点在し、静かな住宅街が広がっています。都会の喧騒を離れ、落ち着いた時間を過ごしたい方におすすめの駅です。

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