英彦山神宮

英彦山神宮：歴史と自然が織りなす霊峰の神社

英彦山神宮は、福岡県田川郡添田町英彦山に位置する神社です。古くは官幣中社に列せられ、現在は神社本庁の別表神社として、多くの人々の信仰を集めています。通称「英彦山権現」として知られ、北岳、中岳、南岳（主峰）の三峰からなる英彦山全体が神域として崇められています。

神々への崇敬：三峰と三柱の神々

英彦山の三峰それぞれに神々が祀られています。北岳には正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命、南岳には伊邪那岐命、中岳には伊邪那美命という、日本神話において重要な役割を担う三柱の神々が鎮座し、それぞれが山を神格化した存在として崇敬されています。神仏習合時代には、これらの神々は法体権現、俗体権現、女体権現と呼ばれ、「彦山三所権現」として信仰を集めました。

歴史の足跡：伝承から近代まで

英彦山の信仰は古く、古代より神体山として崇められていたと考えられています。創建については複数の伝承があり、継体天皇の時代や祭神忍骨命の降臨にまつわる説話が残されています。歴史を辿ると、11世紀初頭に増慶による中興を経て、12世紀には西国修験道の一大拠点として栄えました。後白河法皇の梁塵秘抄にも詠まれるなど、霊山としての英彦山は当時、朝廷にも知られていたようです。

神仏習合が盛んだった時代には「彦山権現霊仙寺」と呼ばれ、多くの僧坊や行場を有していました。しかし、戦乱による焼失や寺領の廃止などの影響を受け、江戸時代には衰微の時期もありました。その後、天台修験の別格本山となり、霊元法皇より「英」の字を賜り「英彦山」と改称されました。明治の神仏分離令により修験道が廃止されると、霊仙寺は廃され、「英彦山神社」となりました。その後、国幣小社、官幣中社を経て、1975年には天皇の勅許により「英彦山神宮」に改称されました。近年では下津宮での護摩祈祷が復活するなど、修験道の再興に向けた取り組みも進められています。

境内と文化財：歴史と自然の調和

英彦山神宮の境内には、上津宮、中津宮、下津宮といった複数の社殿があり、英彦山全体に摂末社が点在しています。境内には、江戸時代前期に再建された奉幣殿をはじめ、多くの文化財が保存されています。国宝・重要文化財に指定されている奉幣殿、銅鳥居、修験板笈、彦山三所権現御正体などは、その歴史と信仰の深さを物語る貴重な遺産です。また、英彦山の鬼スギや英彦山庭園群なども国の天然記念物や名勝に指定されており、歴史と自然が調和した景観が広がっています。

祭事：年間を通して行われる神事

英彦山神宮では、年間を通して様々な祭事が執り行われています。元旦祭や例大祭などの伝統的な神事から、産業安全祈願祭など地域社会に密着した祭事まで、年間を通して信仰の深さを感じることができるでしょう。

アクセスと周辺情報

英彦山神宮へのアクセスは、JR九州日田彦山線彦山駅からバスを利用するか、九州自動車道から車でアクセスすることができます。周辺には、自然公園や他の神社仏閣なども点在し、英彦山周辺の豊かな自然と歴史に触れることができます。

まとめ

英彦山神宮は、長い歴史と豊かな自然に恵まれた霊峰に鎮座する神社です。神仏習合の歴史、修験道の伝統、そして数々の文化財は、訪れる人々に深い感銘を与えるでしょう。英彦山の雄大な自然と歴史を肌で感じたい方は、ぜひ英彦山神宮を訪れてみてください。

もう一度検索