荻伏駅

荻伏駅：日高本線の歴史を刻んだ駅

この記事では、北海道浦河郡浦河町にあったJR北海道日高本線の荻伏駅について解説します。1935年の開業から2021年の廃駅まで、長きに渡り地域に貢献した同駅の歩み、駅舎の変遷、そして駅に携わった人々の物語を紹介します。

荻伏駅の歴史

荻伏駅は、1935年10月24日、国有鉄道日高線日高三石駅 - 浦河駅間の延伸開通に伴い開業しました。当初は一般駅として多くの旅客や貨物を扱い、地域の交通の要として機能していました。1943年には線路名が日高本線に改称され、同線の駅となりました。

その後、1977年2月1日には貨物・荷物扱いが廃止され、駅員無配置駅（簡易委託駅）となりました。さらに2011年5月には簡易委託も廃止され、完全無人駅となりました。

2015年1月には、大雪による高波被害や土砂流出の影響で、厚賀駅 - 大狩部駅間で列車の運行が何度も中断されました。この間、代行バスが運行され、乗降場所も変更されました。そして2021年4月1日、鵡川駅 - 様似駅間の廃止に伴い、荻伏駅は廃駅となりました。

駅名の由来

荻伏駅の駅名は、その所在地である地名に由来しています。この地名はアイヌ語の「オ・ニ・ウシ」（そこに木の多い所）に由来しており、「森」を意味しています。

駅構造

荻伏駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。ホームは線路の南西側に位置していました。かつては相対式ホーム2面2線を有し、列車交換が可能な交換駅でしたが、後に1面1線に減線されました。

駅舎は構内の南西側にあり、ホームとは通路で連絡していました。有人駅時代には改築され、ワフ29500形有蓋緩急車を改造した貨車駅舎となりました。駅舎の塗色は浦河高校美術部の生徒によるイラストが描かれており、時代とともにデザインが変化しました。駅舎内には、かつて乗車券を発売する管理人室がありましたが、簡易委託の終了に伴い廃止されました。

利用状況

荻伏駅の利用状況は、年々減少傾向にありました。バス代行期間の存在や、集計期間の違いなどにより、正確な数値の比較は困難ですが、廃線間近には利用客は非常に少なくなっていました。

駅周辺

荻伏駅周辺には、荻伏の中心街、浦河町役場荻伏支所、浦河警察署荻伏駐在所、荻伏郵便局などの公共施設や、JAひだか東荻伏事業所、日高中央漁業協同組合荻伏支所などの事業所、浦河町立荻伏中学校などの教育施設がありました。また、バス停「荻伏駅前」も設置されていました。

荻伏駅と人々

2008年9月14日にテレビ東京系列で放送された「日曜ビッグバラエティ」では、駅員時代から68年間にわたり荻伏駅を管理（簡易委託含む）してきた夫婦の仕事ぶりが紹介されました。この番組は、荻伏駅と地域の人々の深いつながりを象徴する出来事として記憶されています。

隣の駅

本桐駅
絵笛駅

結論

荻伏駅は、日高本線の歴史とともに歩み、地域の人々の生活に密着した駅でした。廃駅となってからも、その存在は人々の記憶にしっかりと刻まれています。駅舎の変遷や、駅に携わった人々の物語は、地域の歴史を語る上で貴重な資料となるでしょう。

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