西浦和駅

埼玉県さいたま市桜区田島五丁目に所在する、東日本旅客鉄道（JR東日本）武蔵野線の駅です。駅番号は「JM 27」が付与されています。さいたま市桜区内に存在する鉄道駅としては、当駅が唯一となります。

武蔵野線の主要な路線のほか、東北本線の与野駅方面へ連絡する貨物支線、通称「大宮支線」がこの駅から分かれています。この支線は主に貨物列車が利用しますが、「むさしの号」など一部の旅客列車も経由しています。

歴史

当駅は1973年（昭和48年）4月1日に、当時の日本国有鉄道（国鉄）の駅として開業しました。開業当初には、自動改集札機の試験設置駅12箇所の一つに選ばれています。

1980年（昭和55年）8月17日には、近隣で発生した古タイヤ火災により高架橋が損傷し、北朝霞駅との間でおよそ1ヶ月間にわたり列車の運転が見合わせとなる事態がありました。

国鉄の分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）4月1日からは東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅となりました。

ICカード乗車券「Suica」の利用が可能になったのは2001年（平成13年）11月18日です。駅での切符購入や手続き窓口として機能していた「みどりの窓口」は、2008年（平成20年）2月29日をもって営業を終了しました。

2018年（平成30年）4月1日からは、駅業務が業務委託化されています。

駅構造

当駅は高架構造を持つ駅で、国道17号新大宮バイパスと交差する地点に建設されています。ホームは島式のものが1面あり、その両側に合計2線（2番線と3番線）が設けられています。駅の敷地内には、武蔵野線の本線と大宮支線が分岐するため合計4本の線路が並んでいますが、ホームが接しているのは内側の2線のみです。外側の2線（1番線と4番線）にはホームがないため、当駅ののりば番号は2番線から始まっています。

駅業務はJR東日本ステーションサービスが受託する業務委託駅であり、武蔵浦和駅が当駅を管理しています。以前は東浦和駅の管理下にありました。

改札口は駅に一つのみで、正面は一般道を挟んで新大宮バイパスの上り線に面しています。改札内には自動改札機が設置されており、改札外には自動券売機が設けられています。ホームへの移動手段として、かつてはエスカレーターが設置されていましたが、一部は撤去され、現在はホームと中2階を結ぶ上りエスカレーターが1機稼働しています。エレベーターは改札内からホームへのアクセス用に1機設置されています。トイレは男女別のものが改札内にあり、車椅子対応の多機能トイレも備えられています。

駅のカラーはオレンジ色と定められています。

のりば

当駅のホームは1面で、以下ののりばから列車が発着します。

2番線: 武蔵野線下り府中本町・八王子方面
3番線: 武蔵野線上り西船橋・東京・海浜幕張方面

利用状況

2023年度（令和5年度）における1日平均の乗車人員は13,750人でした。これは武蔵野線に属する26駅の中で、新三郷駅に次いで20番目の多さです。1981年度以降、年間を通じた乗車人員の推移が記録されています。

駅周辺

駅前にはロータリーがありますが、これは2003年に整備されたものです。ロータリー完成後も駅周辺の道路が狭いため、コミュニティバス以外の一般路線バスはロータリーに乗り入れていません。そのため、駅に接続する主な公共交通機関はタクシーとなっています。一般路線バスの最寄りの停留所は、駅の北側にある「高畠」バス停です。

バス路線としては、さいたま市が運行する桜区コミュニティバス（国際興業バス委託運行）が駅前ロータリーに発着し、中浦和駅方面や市民医療センター方面へ向かいます。高畠バス停からは国際興業バスが運行しており、浦和駅西口、北浦和駅西口、志木駅東口、西浦和車庫などへアクセス可能です。また、深夜時間帯には池袋駅からの深夜バスが「西浦和駅入口」バス停に停車します。

その他

武蔵野線本線の列車が当駅を発車、または接近する際、特に大宮支線との分岐・合流地点を通過する際に、列車の進行方向が大きく変わるため車体が揺れることがあります。これは、武蔵野線が元々貨物輸送を主目的として建設された名残であり、大宮支線がより直進に近い線形となっているためです。最近の車両では、この揺れに備えるよう促す自動放送が流れます。

かつては、当駅の西船橋方面・別所信号場側にも分岐器が存在し、様々な線路間の移動が可能でしたが、現在は使用されていません。

大宮支線を経由する旅客列車、具体的には「むさしの号」は、線路の配置上の都合により当駅で旅客扱い（乗降）ができないため、当駅を通過します。2010年12月4日のダイヤ改正で「しもうさ号」の運転が開始されて以降、西浦和駅は武蔵野線内で大宮駅へ直通する旅客列車が停車しない唯一の駅となっています。

過去には、現在の都営地下鉄三田線である東京6号線の延伸計画が存在し、もし実現していれば、当駅がその乗り換え駅となる予定でした。

駅名である「西浦和」は、現在の行政上の地名としては存在しません。駅の所在地はさいたま市桜区田島です。浦和市時代の1976年には、駅の南側の地区（曲本・内谷）に「西浦和」という町名が一時的に成立しましたが、駅自体はその町域に含まれず、わずか2年後の住居表示実施時に消滅しています。

隣接する駅は、武蔵野線各駅停車では武蔵浦和駅（JM 26）と北朝霞駅（JM 28）の間です。大宮支線は当駅から与野駅へ通じていますが、旅客列車の停車駅としては扱われていません。

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