西炯子

西 炯子

日本の漫画家、西 炯子（にし けいこ）は、12月26日生まれの女性です。彼女は鹿児島県指宿市出身で、時には「にし けいこ」という別のペンネームを使用することもあります。『三番町萩原屋の美人』、『ちはるさんの娘』、『STAY』、そして『娚の一生』といった、多くの読者に親しまれる代表作を世に送り出しています。

キャリアの始まりと歩み

西炯子氏は、鹿児島県立指宿高等学校を卒業後、都留文科大学国文科で学びました。漫画家としての第一歩は、高校在学中に踏み出されます。雑誌『JUNE』（旧：サン出版、現：マガジン・マガジン）に掲載されていた「竹宮惠子の漫画教室」へ積極的に投稿を重ね、1986年11月号に掲載された『太陽の下の17歳』で商業誌デビューを飾りました（この際の掲載名義は「西桂子」でした）。デビュー当初は、教員として働きながら漫画制作を行うという多忙な日々を送っていましたが、後に漫画家としての道一本に進むことを選びました。

彼女の作品は、人間関係や感情の機微を丁寧に描き出す作風で知られ、幅広い読者の共感を呼んでいます。特に『娚の一生』は高い評価を受け、「このマンガがすごい!2010」（宝島社）オンナ編で第5位、「THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!」（フリースタイル）で第6位にランクインするなど、その年の漫画界で大きな注目を集めました。

映像化された代表作

西氏の生み出す物語は、その普遍的なテーマや魅力的なキャラクターから、しばしば実写映像化されています。2006年には『STAY〜ああ今年の夏も何もなかったわ〜』が古田亘監督によって、2015年には『娚の一生』が廣木隆一監督によって、それぞれ映画として製作・公開されました。また、2019年春には『お父さん、チビがいなくなりました』が小林聖太郎監督の手により、『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』のタイトルで映画化され、劇場で公開されています。

多様な作品群

西炯子氏は、これまで多くの出版社で様々なジャンルの漫画作品を発表してきました。主要なものとしては以下の出版社から作品が刊行されています。

小学館: 『天使にならなきゃ』で単行本デビュー。その後、『STAY』シリーズ、『姉の結婚』、『たーたん』、『初恋の世界』など、読者に長く愛されるシリーズや話題作を多数手がけています。現在も『ビッグコミックスピリッツ』、『増刊flowers』、『ビッグコミックオリジナル増刊』、『ビッグコミックオリジナル』、『月刊flowers』など、複数の媒体で新たな物語を紡ぎ続けています。
新書館: 初期から主要な作品を発表してきた場の一つで、『三番町萩原屋の美人』は長期にわたる代表作となりました。その他、『ひらひらひゅ〜ん』などがあります。
徳間書店: 『ひとりで生きるモン!』シリーズなどを刊行しています。
白泉社: 『兄さんと僕』、『なかじまなかじま』といった作品があります。
講談社: 少女漫画誌『なかよし』で『恋と軍艦』、『キスする街角』を発表しており、幅広い読者層に向けた作品も手がけています。
角川書店: 『かわいそうなお姫様』などの作品があります。
* 双葉社: 『ちはるさんの娘』などがあります。

これら以外にも、単行本にまとめられた作品や読切作品が多数存在します。

漫画以外の活動

漫画制作だけでなく、エッセイ執筆や挿絵・イラストレーションなど、幅広い分野でその才能を発揮しています。『生きても生きても』、『一生中2じゃダメかしら?』といったエッセイ集からは、西氏の日常や考え方を垣間見ることができます。また、「にし けいこ」名義を含め、多くの小説や児童書、雑誌などで挿絵や表紙イラストを担当しており、はやみねかおる氏の「都会のトム＆ソーヤ」シリーズや岩貞るみこ氏の「ドクターヘリ物語」シリーズ、秋月こお氏の「富士見二丁目交響楽団」シリーズなど、著名な作品のイラストも数多く手がけています。

メディアへの露出もあり、過去にはテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』や、漫画家の制作現場に迫るNHK Eテレの『浦沢直樹の漫勉neo』に出演。また、NHK Eテレの『ネコメンタリー 猫も、杓子も。』では、愛猫たちとの暮らしぶりが紹介されました。ラジオ番組『たまむすび』にリスナーとして電話出演したエピソードも知られています。

その他、かつて週刊文春で連載されていた「おじさん改造講座」のOL委員会に所属していたことを後年明かしたり、2024年春に予定されていた自身の漫画『たーたん』のテレビドラマ化が、諸般の事情により製作中止となったことも話題となりました。

長年にわたり第一線で活躍し続け、読む者の心に響く物語や魅力的なイラストレーションを生み出し続ける西炯子氏は、日本の漫画・イラストレーション界において確固たる地位を築いています。

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