西金沢駅

西金沢駅と新西金沢駅：金沢市の鉄道交通を支える二つの駅

石川県金沢市にある西金沢駅と新西金沢駅は、地理的に隣接しながらも異なる鉄道会社が運営する駅として、地域の交通を支えています。本記事では、両駅の概要、歴史、構造、利用状況、周辺環境などを詳しく解説します。

IRいしかわ鉄道 西金沢駅

西金沢駅は、IRいしかわ鉄道線にある地上駅です。1912年、国鉄北陸本線の駅として「野々市駅」として開業し、1925年に現在の駅名に改称されました。長い歴史の中で、貨物輸送も盛んに行われていましたが、1984年に旅客駅となり、2024年には北陸新幹線の延伸開業に伴いIRいしかわ鉄道の駅となりました。

駅舎は2011年に橋上駅舎に改築され、東西自由通路も整備されました。これにより、駅へのアクセスが向上し、利用者の利便性も大きく改善されました。改築前は複数の側線が存在していましたが、現在は2本の留置線が残るのみで、廃止された側線の一部は保線訓練施設として再利用されています。

現在、無人駅として運営されており、みどりの窓口も営業を終了しています。駅周辺には、かつて加賀製紙工場や日本たばこ産業金沢工場などがあり、専用線が接続されていた名残を感じることができます。現在では、商業施設は設置されていませんが、周辺にはバス路線も充実しており、生活の拠点として機能しています。

駅の接近警告機では、1番のりばが「村の鍛冶屋」、2番のりばが「アニーローリー」というメロディーが使用されています。両列車が接近する際は「カッコウ」が流れます。

北陸鉄道 新西金沢駅

新西金沢駅は、北陸鉄道石川線にある地上駅です。1915年、石川鉄道の駅として「新野々市駅」として開業し、1925年に現在の駅名に改称されました。かつては車両整備工場や車庫を併設しており、石川線の拠点駅として重要な役割を果たしていました。現在でも、待機車両用の留置線を2本保有しています。

駅構造は島式ホーム1面2線で、駅本屋からホームへは構内踏切で連絡します。単線区間の交換可能駅ですが、日中の列車交換は限られており、鶴来駅や額住宅前駅で行われるケースが多いです。平日・土曜日の日中の一部時間帯には駅係員が配置されています。

2019年度の1日平均乗降人員は約1107人で、北陸鉄道の駅の中では野町駅に次いで4位と、多くの利用者を集めています。駅周辺には「西金プリンスロード商店街」と呼ばれる商店街や、金融機関、コンビニエンスストアなどがあり、生活に便利な環境が整っています。

西金沢駅周辺

西金沢駅周辺は、「西金」と呼ばれ親しまれている地域です。駅名に「西金沢」と冠されている通り、西金沢1丁目に位置しています。東口前には「西金プリンスロード商店街」があり、地域住民の生活を支える商業施設が点在しています。また、加賀製紙、金沢製粉、羽二重豆腐といった企業も周辺に立地しています。

東口と西口にはタクシー乗場が設置され、公共交通機関との接続も良好です。バス路線も充実しており、北鉄金沢バスの西金沢線、鳴和増泉線、上荒屋線が運行しています。

両駅の比較と地域への貢献

西金沢駅と新西金沢駅は、それぞれ異なる鉄道会社が運営する駅でありながら、隣接した位置関係にあるため、利用者は両駅の利便性を享受することができます。両駅の歴史と現状を理解することで、金沢市の鉄道交通の変遷と地域の活性化に貢献してきた役割を認識することができるでしょう。今後、北陸新幹線の延伸効果なども加わり、地域の交通の要としてますます重要な役割を果たしていくことが期待されます。

参考文献

川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン全線・全駅・全配線 第6巻 加賀温泉駅 - 富山エリア』講談社、2010年
『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄 28 えちぜん鉄道 福井鉄道・北陸鉄道・のと鉄道』朝日新聞出版、2011年
寺田裕一『改訂新版 データブック日本の私鉄』ネコ・パブリッシング、2013年
土屋武之・村上悠太「新幹線を迎える石川県に根付く 北陸鉄道の今昔物語」『鉄道ジャーナル』568号、鉄道ジャーナル社、2014年

もう一度検索