見老津駅

見老津駅：紀伊半島の小さな駅の魅力

見老津駅は、和歌山県西牟婁郡すさみ町に位置する、JR西日本紀勢本線（きのくに線）の駅です。青い海と険しい山々が織りなす美しい自然に囲まれた、静かで風情のある駅舎が特徴です。周参見駅まで約10kmと距離があるため、その間に双子山信号場が設置されているのも特徴の一つです。

歴史と変遷

見老津駅は1938年9月7日、国鉄紀勢西線の駅として開業しました。その後、1959年7月15日には紀勢本線の一部となり、現在の位置付けとなります。開業以来、長年にわたり地域住民の足として利用されてきました。

歴史を紐解くと、1971年には貨物取扱い、1978年には荷物扱いが廃止されました。1985年には無人駅となり、窓口業務は終了。1987年の国鉄分割民営化を経て、JR西日本の駅となりました。近年では、2021年3月13日よりICOCAが利用可能になり、利便性が向上しています。

かつては駅舎内にミニ水族館が設置されていた時期もありました。これは現在のすさみ町立エビとカニの水族館の前身にあたる施設で、地域に愛される存在でした。

駅舎と構造

見老津駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。列車の交換が可能な構造となっています。駅舎は線路西側に位置し、ホームからは構内踏切を経由してアクセスします。国道と線路に挟まれた狭い場所に位置しているため、駅舎の出入口は妻面側に設けられています。木造の駅舎は、古き良き時代の面影を残す、温かみのある造りです。

無人駅であるため、自動券売機は設置されていません。乗車駅証明書発行機はありますが、長らく故障したままの状態です。駅舎横にはトイレが設置されています。2018年9月からは、すさみ町観光協会が駅舎の一部を借り受けて、観光案内所とカフェを併設するようになりました。地元の特産品などを販売しており、観光客や地元住民にとって便利な施設となっています。

利用状況と周辺環境

見老津駅の1日平均乗車人員は、近年減少傾向にあります。詳しいデータは、JR西日本の公式発表をご確認ください。

駅周辺は国道42号沿いに位置し、海に近く、枯木灘と呼ばれる海岸線にもアクセスしやすい立地です。見老津保育所や、大辺路の登山口である長井坂へのアクセス拠点として、地域住民や観光客に利用されています。すさみ町コミュニティバスも利用可能です。

隣の駅

江住駅
周参見駅

見老津駅は、周辺の自然と調和した、歴史と現代が融合した小さな駅です。静かな雰囲気の中で、旅の疲れを癒す、そして新たな旅への出発点として、多くの利用者に愛されています。

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