視覚障害者

視覚障害者についての詳細

視覚障害者とは、視機能が著しく制限され、日常生活や就労において不自由を感じる人々を指します。このカテゴリーには、全く見えない全盲者と、視力があるものの視覚が非常に弱い弱視者が含まれます。かつては「目暗」や「眼暗」と呼ばれることもありましたが、これらの呼称は現代では差別的であるとして避けられています。

1. 歴史と社会的背景

日本における視覚障害者は、明治維新以前から当道座や盲僧座などの組織を通じて自立して生活していました。これらの組織は、音楽や鍼灸按摩などの技能を持つ人々の集まりで、一定の社会的地位を有していました。近年は、ノーマライゼーションに基づく社会の流れの中で、視覚障害者が健常者と変わらない活動を行う機会が増えています。

政府が推計するところによれば、世界には約2.5億人の視覚障害者が存在し、その中で約3600万人が全盲であるとされています。日本国内では、視覚障害者の数は約31万人とされ、その多くが高齢者であり、生活の質を維持することが課題となっています。

2. 教育と情報の保証

視覚障害者に対する教育機関も存在し、筑波技術大学などでは専門の学部が設置されています。ただし、視覚障害に関する教員免許が取得できる機関は少なく、特に特別支援学校における教職課程では、視覚障害利用者の教育が進んでいないのが現状です。また、情報取得手段も多様化しており、音声化された図書やITを駆使した情報の収集が可能になっています。

3. 就労と職業支援

視覚障害者の就業機会は、従来は鍼灸按摩などの特定職業に偏っていましたが、近年はIT関連の職種や図書館員としての採用も増えています。視覚障害者向けに開発されたICT技術の発展に伴い、プログラマーとして活躍する障害当事者も登場しています。このように、職業の選択肢が広がってきている一方で、依然として就労の場は限られており、そのための配慮が必要です。

4. 移動のアクセシビリティ

視覚障害者の移動を支えるために、ロードサインの工夫やガイドヘルプ、盲導犬の活用が行われています。また、視覚障害者誘導ブロックと呼ばれる点字ブロックの設置が進められ、これにより自立した移動が可能になっています。

5. 配慮と社会における取り組み

視覚障害者に対する配慮は法律によっても保証されており、虐待防止や差別の解消が求められています。国や地方自治体ではバリアフリーの推進や合理的配慮の提供が進められていますが、実際にはまだ多くの課題が存在します。また、特に視覚障害者の声を考慮した環境の整備が求められています。

視覚障害者が一般社会で生活し、働く際には、障害を抱える人々が直面する課題を理解し、より多くの情報を提供し、社会全体での取り組みが不可欠です。そのためには、私たち一人一人が意識を高め、共生する社会を築いていくことが重要です。

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